日銀の13.1%と総務省の1.7%、同じ「物価」のはずなのに一桁違う理由を追った
日本銀行のアンケートでは「1年後の物価は13.1%上がる」という予想が出ている。
でも総務省の消費者物価指数は1.7%程度。同じ「物価」を指しているはずなのに、なぜ一桁も違うのか。
インフレ・値上げ実感シミュレーターをつくる第1回 / 全1回目次
このゲームの企画を考えていたとき、最初に引っかかったのがこの数字の差だった。
日本銀行「生活意識に関するアンケート調査」(2026年6月):1年後の物価見通し 平均 +13.1%\n総務省統計局「消費者物価指数」(生鮮食品を除く総合):前年同月比 +1.6〜1.7%程度どちらも「物価」という同じ言葉を使っているのに、数字は7〜8倍違う。どちらかが間違っているのか、それとも測っているものが違うのか。まずそこを切り分ける必要があった。
「実績」と「予想」を混ぜていた
調べて最初に分かったのは、これが「実績」と「予想」の違いだということだった。
総務省のCPIは、実際に起きた価格変動を事後的に集計した実績値。
日銀のアンケートは、これから1年でどれくらい物価が変わると個人が予想しているか、という主観の平均値。
実績と予想を同じグラフに並べて「どちらが正しいか」を競わせるのは、そもそも設問が違う。この時点で、画面上でも「実績」「予想」とラベルを分けて出すことに決めた。
それでも差が大きすぎる
ラベルを分けたとしても、13.1%という予想は、実績の1.7%から見て大きすぎる。
ここでもう1つ、日銀の資料を読んで分かったことがある。
このアンケートでは「1年前と比べて物価が上がったと感じている人」の割合も聞いていて、こちらは95.1%だった。
13.1%は「率」、95.1%は「割合」。単位がそもそも違う数字を、自分は最初「体感インフレ率」として一緒くたに扱いかけていた。慌てて画面上でも、率のグラフとは別枠のバッジに分離した。
値上がりが目立つ品目が実感を強める
実績と予想を切り分けても、なぜ個人の予想が公式統計よりずっと高くなりがちなのかは残る疑問だった。
調べていくと、2026年3月の品目別データで、コーヒー豆+54.0%、たまねぎ+47.3%、無菌包装米飯+36.7%といった、特定の品目が大きく値上がりしていることが分かった。
CPI全体でみればこれらは一部の品目にすぎないが、スーパーで頻繁に目にする値上げは記憶に残りやすい。このゲームでは「なぜ体感と統計はズレるのか」というブロックで、値上がりが目立つ品目の例をあえて一覧で見せることにした。実感が強く出る理由の一端を、数字ではなく体感として伝えたかった。
自分で計算した値ですら、公式CPIと一致しなかった
最後にもう1つ、想定外の食い違いに気づいた。CPI10大費目のウエイトと前年同月比を使って、全国平均の重みのまま加重平均を計算してみると、約1.96%になった。
公式CPI実績(1.6〜1.7%程度)とは、これも一致しない。
原因ははっきり特定できていない。集計期間のズレか、「生鮮食品を除く」という区分の違いか、あるいは他の要因か。ここは正直に「一致しません」と画面とREADMEの両方に書いた。自分で計算した数字を鵜呑みにせず、公式の実績値と並べて見せることの大事さを、このゲームを作りながら再確認することになった。
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