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パススルー充電の注意点|ポータブル電源をつなぎっぱなしにする前に、切替時間10〜30msと電池の傷み方を見る

停電したら電池に切り替わる便利な使い方。
ただし切り替えには機種ごとに10〜30msかかり、満充電のまま置くと電池は傷みやすい。
つなぐ前に確かめる5つのことを、メーカーの注記と電池の資料から整理しました。

パススルー充電は、ポータブル電源をコンセントにつないだまま、本体を充電しながら家電にも電気を送る使い方のことだ。
停電したら電池からの給電に切り替わるので、簡易的な停電対策として使える。
ただし切り替えには機種ごとに10〜30ミリ秒ほどかかり、「サーバーやワークステーションには使えない」と注記しているメーカーもある。
この記事では、メーカーの製品ページと電池の劣化に関する資料をもとに、つなぎっぱなしにする前に確かめたいことを整理する。

僕の考えは「僕は〜と思う」と書き分けてある。
ここに出てくる数字は、どれもメーカーや資料が公表しているもので、僕が測ったものではない。

パススルー充電とは

ふつう、ポータブル電源は「充電する」と「使う」を別々にやる。
パススルー充電に対応した機種は、コンセントから入ってきた電気をそのまま家電へ流しつつ、余った分で本体の電池を充電できる。
コンセント → ポータブル電源 → 家電、とつないでおく形だ。

この形でつないでおくと、停電したときにコンセント側の電気が止まり、本体の電池からの給電に切り替わる。
メーカーはこの機能を「UPS機能」「EPS機能」などと呼んでいる。
呼び方は違っても、つなぎ方は同じだと考えてよい。

UPSとの違いは、切り替えにかかる時間

パソコンやサーバー用に売られているUPS(無停電電源装置)は、停電の瞬間にも電気が途切れないことを目的にした機械だ。
一方、ポータブル電源のパススルーは、停電を検知してから電池に切り替えるまでに、わずかな時間がかかる。

たとえばEcoFlowのRIVER 2の製品ページには、ブレーカーが落ちても30ms(ミリ秒)以内にバッテリーへ切り替わる、と書かれている。
同じページの注記には、このEPS機能は0msでの切り替えには対応していないので、データサーバーやワークステーションのような完全なUPS機能を必要とする機器には使えない、とある。

AnkerのSOLIXシリーズのパソコン向けページ(英語)は、最短10ミリ秒で切り替わり、対応するパソコンやモニター、ルーター、NASを動かし続けられる、と案内している。
同じ「パススルー」でも、切り替え時間も、パソコンに使えるかどうかの見解も、メーカーと機種で違う。
使う機種の仕様表と説明書で確かめるしかない。

30msは0.03秒だ。
照明や扇風機なら、気づかないか、一瞬ちらつく程度で済むことが多いと思う。
一方で、パソコンのように電気が一瞬でも途切れると落ちてしまう機器は、この0.03秒が問題になる。
作業中のデータが消えるかどうかは、機器の側がその瞬間を持ちこたえられるか次第になる。

向いている機器、向いていない機器

メーカーの注記をまとめると、次のように分けられる。
分け方は僕の整理で、最終的には機種の説明書が優先だ。

  • 向いている:照明、扇風機、電気毛布、スマホの充電、Wi-Fiルーター
  • 機種しだい:パソコンやNAS(切り替え時間が短く、メーカーが対応をうたっている機種に限る)
  • 使わない:データサーバーやワークステーションなど、メーカーが「完全なUPS機能が要る機器には使えない」としている機器。命に関わる医療機器も、ここに入れておく

医療機器は、メーカーの注記を待つまでもなく、その機器のメーカーが指定する電源を使うのが前提だと思う。
ポータブル電源の切り替えに賭けるものではない。

つなぎっぱなしで気になるのは、電池の傷み方

パススルーで使うと、ポータブル電源はほぼずっと満充電に近い状態で置かれることになる。
リチウムイオン電池は、満充電のまま長く置かれることと、高い温度にさらされることで傷みやすい。
電池の資料サイトBattery Universityは、いちばん悪い状況は満充電の電池を高温に置いておくことだ、と書いている。

同じ記事には、1年保管したあとに戻る容量の目安の表がある。

  • 25℃で保管:40%充電なら96%、100%充電なら80%
  • 40℃で保管:40%充電なら85%、100%充電なら65%

この表は保管(使わずに置いておく)の目安で、パススルー中の電池にそのまま当てはまる数字ではない。
それでも、満充電で暑いところに置くほど傷みが早い、という向きは読み取れる。
同じ記事は、ノートパソコンの「長寿命モード」のように80%前後で止めておく使い方も紹介している。

だから最近の機種には、充電の上限を80%や85%に下げられる設定を持つものがある。
パススルーで使い続けるなら、この設定があるかどうかを先に見ておくと安心だと思う。
電池の種類でいえば、リン酸鉄リチウムイオン電池は繰り返しの充電に強い。
電池の種類の話はポータブル電源、容量の前に「電池の種類」を見てほしいに書いた。

つなぐ前に確かめる5つのこと

ここからは僕の整理だ。
説明書と製品ページで、次の5つを確かめてからつなぐ。

  1. パススルー(UPS/EPS)に対応しているか。対応をうたっていない機種で、充電しながら使い続けるのはやめておく
  2. 切り替え時間は何msか。つなぎたい機器が、その時間の停電に耐えられるか
  3. 説明書で「使わないで」と書かれている機器に当てはまらないか
  4. 充電の上限を下げる設定があるか。あるなら80〜85%前後にしておく
  5. 置き場所が暑くならないか。夏の窓際や、熱がこもる棚の中は避ける

停電のときにWi-Fiと照明だけでも生きていてくれると、状況を調べたり、家族と連絡を取ったりできる。
パススルーは、そのための保険としてならよくできた機能だと思う。
パソコンの作業まで守らせたいなら、切り替え時間とメーカーの対応表を確かめてからにする。
そこを分けて使えば、つなぎっぱなしにする意味は十分にある。

保管するときの決まりはポータブル電源の保管|しばらく使わないと電源が入らなくなるに、暑さで充電が止まる話はポータブル電源の車内放置に書いた。

出典

まる子パパ

まる子パパ

会社員。受託開発のエンジニアを15年以上続けていて、その前は寿司職人・長距離運転手・農業。 技術ブログは、キャンプの合間に踏んだバグと、AI・Web開発の運用の失敗を書いています。 このサイト自体が、開発に携わっているCMS「コンテナ」の稼働中の実例です。 このサイトについて / 小さな自動化の相談

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