三か月ぶりに出したポータブル電源が、電源すら入らなかった。しまい方に決まりがあった
押し入れから去年しまった一台を出したら、ボタンを押しても画面がつかなかった。
壊れたのではなく、空になって眠っていただけだった。
電池は、使わなくても減っていく。
押し入れの奥から、去年の秋にしまったポータブル電源を出してきた。
久しぶりに一泊で出かけることになったからだ。
ボタンを押しても、画面がつかない。
長押ししても、うんともすんとも言わない。
壊れたと思った。
壊れてはいなかった
とりあえずコンセントにつないで、しばらく放っておいた。
三十分ほどして見に行ったら、何事もなかったような顔で起動していた。
壊れてはいなかった。
ただ、中身がほとんど空になっていた。
しまったときは満タンに近かったはずだ。
一度も使っていないのに、なくなっていた。
使わなくても、電池は減っていく
電池は、何もつないでいなくても少しずつ減る。
自然放電と呼ばれるものだ。
それとは別に、本体の中には電池の状態を見張っている回路が入っていて、待機しているあいだも小さな電気を使い続けている。
画面が消えていても、中では番人が起きている。
この二つが重なると、半年も置けば残量はけっこうな勢いで落ちる。
僕は「切っておけば止まる」と思い込んでいた。
止まっていたのは表示だけだった。
空のまま置くと、起きられなくなることがある
やっかいなのはここから先だ。
残量がある線より下まで落ちると、さっきの番人が「これ以上は電池に良くない」と判断して、出す方も入れる方も止めてしまう。
画面がつかなかったのは、この状態だったのだと思う。
多くの機種はコンセントにつなげばまた目を覚ます。
ただ、放っておいた期間が長いと戻ってこない個体もあるらしい。
僕のは戻ってきたけれど、あれは運が良かっただけだと思っている。
電池の種類によって減り方の速さは違うし、リン酸鉄の機種はこのあたりが比較的おだやかだと言われている。
それでも、置きっぱなしで減ることに変わりはない。
じゃあ満タンで置けばいいのか、というと
空が良くないなら満タンにして置けばいい、と最初は考えた。
これも良くないのだそうだ。
電池は、めいっぱい詰まった状態が続くとそれはそれで傷む。
少し空けておいたほうが長持ちする。
気になって手元の説明書を何冊か読み比べてみたら、どれも六割前後という同じあたりを指していた。
八割まで、と書いてあるものもあった。
細かい数字はメーカーごとに違うので、自分の機種の説明書がいちばん正しい。
要するに、満タンでも空でもない真ん中あたりで寝かせておけ、ということだ。
夏の置き場所は、思っているより効く
暑さもここに乗ってくる。
前に、車の中に置きっぱなしにしていた一台が、充電の途中で止まってしまったことがあった。
あれは壊れたのではなく、熱くなりすぎて自分を守っていただけだったという話は前に書いた。
保管も同じで、暑いところに長く置くほど傷みは早くなる。
夏の車内と、屋根の下の物置。
このあたりに置いていたなら、置き場所のほうを先に変えたほうがいい。
僕がいまやっている三つのこと
ひとつ、しまうときは満タンにしない。
出かける前に充電して、帰ってきたら六割くらいまで落としてから箱に戻す。
満タンのままそっとしまうのが、いちばん親切なことだと思っていた。
逆だった。
ふたつ、三か月に一度、出してきて残量を見る。
減っていたら六割まで戻す。
これはカレンダーに入れておかないと必ず忘れる。
忘れた結果が、今回の押し入れだった。
みっつ、置き場所は家の中の、いちばん温度が動かないところにする。
物置と車の中はやめた。
ついでに言うと、災害のときに使うつもりで買ったのなら、しまい込んだ時点で半分意味がなくなる。
すぐ手が届いて、なおかつ涼しいところ。
僕はいま使っている一台を、玄関の収納に移した。
電池は、使って減らすものだと思っていた。
置いておくだけでも減るし、置き方しだいで寿命のほうも変わる。
次に使う日のために、六割で寝かせておく。
たったそれだけのことで、押し入れを開けたときの気分がずいぶん違うはずだ。
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