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鶏肉の下ごしらえとカンピロバクター|新鮮でも菌はいる。家で切って袋を分け、中心75℃で1分焼く

鶏肉は新鮮でもカンピロバクターがついていることがあり、市販品の汚染率は調査で20〜40%ほど。
予防は中心75℃で1分以上の加熱と、生肉に触れた手や道具をほかに回さないこと。
キャンプでは家で切って袋を分け、トングを2本にする段取りをまとめた。

鶏肉は、新鮮でもカンピロバクターという菌がついていることがある。
厚生労働省のQ&Aでは、市販の鶏肉の汚染率は調査によって20〜40%、モモ肉で42%、ムネ肉で40%という結果が載っている。
防ぎ方は、中心まで75℃で1分以上焼くことと、生の鶏肉に触れた手や道具をほかの食べ物に回さないことの二つに尽きる。

キャンプは、この二つ目が家より難しい。
まな板も水も限られていて、トングも箸も少ない。
だから僕は、鶏肉の手間はできるだけ家で済ませてから持っていくのがいいと思っている。

この記事の数字と予防の方法は、厚生労働省の「カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)」(最終改正 令和8年5月27日)から引いた。
段取りのところは、僕の考えとして書いている。

「新鮮だから安全」ではない

Q&Aには、健康な鶏でも腸の中にカンピロバクターやサルモネラ属菌を持っていることがある、と書いてある。
いまの処理の技術ではこれらを100%取り除くのは難しく、鶏肉や内臓から高い頻度で見つかる、ともある。
そして「新鮮だから安全」ではない、とはっきり書かれている。

カンピロバクター食中毒は、国内の細菌性食中毒の中で近年いちばん件数が多く、年に200件ほど、患者は1,000〜2,000人ほどで推移している。
令和7年は220件・1,226人だった。

数百個ほどの少ない菌でも感染する、とも書いてある。
「ちょっとくらいなら」が通じにくい相手だと僕は受け取った。

症状が出るのは1〜7日後

症状は下痢、腹痛、発熱、吐き気、頭痛、だるさなどで、多くの人は1週間ほどで治る。
ただ、子どもやお年寄り、体の弱い人は重くなるおそれがある。
数週間後に手足のまひなどが出る「ギラン・バレー症候群」につながる場合がある、という指摘も載っている。

気をつけたいのは、潜伏期間が1〜7日とやや長いことだ。
キャンプから帰って数日たってから具合が悪くなると、あの夜の鶏肉と結びつけにくい。
心当たりがあるときは、受診するときにキャンプで何を食べたかを伝えたほうがいいと僕は思う。

家でやっておく下ごしらえ

Q&Aの予防方法には、食肉はほかの食品と調理器具や容器を分けて処理・保存する、食肉を扱ったら十分に手を洗う、食肉に触れた器具は使ったあと洗って殺菌する、と並んでいる。
これを外でやろうとすると、水と洗い場がいくらあっても足りない。

そこで、生の鶏肉を切る作業は家の台所で終わらせてしまう。
僕が考える段取りはこうだ。

  • 家で一口大や焼く形に切って、1回で使う量ずつ袋に分ける
  • 下味をつけるなら、袋の中で揉んでおく(現地でボウルを使わずに済む)
  • 袋は二重にして、肉汁が漏れても野菜や飲み物にかからないようにする
  • クーラーボックスでは、生肉をいちばん下に入れ、そのまま食べる物の上に置かない

下味をつけて凍らせて持っていくやり方は、肉は家で下味をつけて、凍らせてから積むに書いた。
現地でどうしても切るなら、生肉は最後に切る順番にしておくと道具を洗う回数が減る。
これはキッチンバサミの記事でも書いた話だ。

現地では「生肉用」を決めておく

焼いている最中にいちばん起きやすいのは、生の肉をつかんだトングや箸で、焼けた肉を取ってしまうことだと僕は思う。
網の上で忙しくなると、手に持っている一本で全部やりたくなる。

  • 生肉を網に乗せる用と、焼けたものを取る用で、トングを2本に分ける
  • 見た目で迷わないように、色や形の違うものにしておく
  • 生肉を乗せてきた皿に、焼けた肉を戻さない
  • 生肉を触ったら、ほかの物を触る前に手を洗う。洗い場が遠いなら、手洗い用の水をサイトに置いておく

中心75℃で1分。厚い肉ほど難しい

Q&Aは、中心部を75℃以上で1分間以上加熱することが重要だとしている。
生や加熱が足りない鶏肉料理を避けるのが最も効果的だ、とも書いてある。

炭火やバーナーは、外側が先に焦げて、中が追いつかないことがある。
中心温度計があれば、いちばん厚いところに刺して確かめるのが確実だ。
無いなら、厚い塊のまま焼かずに薄く切っておく、ふたをして蒸し焼きにする、のどちらかで中まで熱を届けるのが僕の考えだ。

鶏刺しやタタキは、キャンプでは出さない

Q&Aでは、令和7年の事例で原因として疑われたものに、鶏レバーやささみの刺身、鶏肉のタタキ、鶏わさなどの半生のもの、加熱が足りない料理が挙がっている。
平成28年には、屋外のイベントで加熱が足りない鶏肉(「鶏ささみ寿司」とうたっていた)が出され、500人を超える患者が出た事例も紹介されている。

寿司の仕事をしていた身としては、「寿司」という言葉が付いていても生の鶏は魚とは別物だと思っている。
冷やす設備も洗い場も限られるキャンプでは、半生の鶏料理は出さないと決めてしまうのがいちばん楽だ。

湧き水と沢の水にも気をつける

キャンプで見落としやすいのが水だ。
Q&Aには、令和5年に湧水を使った食事が原因の大規模な食中毒があり、892人の患者が確認された、と書いてある。
殺菌が不十分な井戸水、湧水、簡易水道の水が感染源になった例もある、としている。

キャンプ場の湧き水や沢の水は、飲用として案内されているかを先に確かめる。
案内が無いなら、そのまま飲んだり、生で食べる野菜を洗ったりはしない。
カンピロバクターは通常の加熱調理で死ぬ、とQ&Aにあるので、使うなら火を通す料理に回すのが僕の考えだ。

まとめ

  • 鶏肉は新鮮でもカンピロバクターがついていることがある。市販の鶏肉の汚染率は調査で20〜40%ほど
  • 生の鶏肉を切る・分ける・下味をつける作業は家で済ませ、袋を分けて持っていく
  • 現地ではトングを生肉用と取る用の2本にし、生肉を触ったら手を洗う
  • 中心を75℃で1分以上。厚い肉は薄く切るか、ふたをして蒸し焼きにする
  • 半生の鶏料理は出さない。飲用の案内が無い湧き水や沢の水は、そのまま飲まない

出典

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