2026.09.15 泊まれる場所4,223 立ち寄りスポット46,522 営業中を確認したキャンプ場1,005 note を読む

朝いちばんの二十分は、テントの水滴を拭く時間だった。夜に一か所開けただけで量が変わった

濡らしていたのは雨でも生地でもなく、自分だった。
買い足したのは、クロス一枚と小さいファンだけ。

朝、テントの中で目を覚まして最初にやるのが、内側を拭くことだった。
天井にびっしり水滴がついていて、うっかり体が触れると背中に落ちてくる。

雨も降っていないのに、寝袋の足元がじっとり湿っている。
拭いて、乾かして、畳んで。
朝のいちばん気持ちのいい時間を、二十分ほどこれに使っていた。

去年の秋、夜にひとつだけやり方を変えたら、朝の水滴の量が目に見えて減った。
道具を買い足したわけではなかった。

濡れているのは、雨のせいでも生地のせいでもない

まず、結露が何なのかを勘違いしていた。
生地が水を通しているのだと思っていたのだが、そうではない。

人は寝ている間も、呼吸と汗で水を出し続けている。
出た水は空気の中に混ざって、テントの中を漂う。
そのままなら見えないままだ。

ところが夜が更けると、外気で冷やされた生地の内側だけが冷たくなる。
冷たいものに温かい空気が触れると、空気は水を抱えきれなくなって、そこで水に戻る。
冷えた麦茶のグラスの外側が濡れるのと、起きていることは同じだ。

つまり結露は、湿気の量と温度差の掛け算で決まる。
このどちらかを小さくしないと、生地をいくら高いものに替えても濡れる。

そして僕が触れるのは、たいてい湿気の量のほうだった。

夜、開ける場所を二か所にした

やり方を変えたというのは、ここのことだ。

それまでは寒いのが嫌で、寝る前に入口も窓も全部閉めていた。
閉め切った中で一晩ぶんの水分を出しているのだから、行き場が無い。
出た水が、そのまま天井で待っている。

いま開けているのは二か所で、低いところと高いところをひとつずつにしている。
足元の裾側を指二本ぶんだけ、天井近くのベンチレーターを全開に。
低い口から冷たい空気が入って、高い口から湿った空気が出ていく。
煙突と同じ理屈で、上下に差をつけるだけで空気が勝手に動く。

一か所だけ開けても、あまり効かない。
入る口と出る口の両方が要る。
これに気づくまで、僕は入口のファスナーを少し開けて満足していた。

寒くなるのが心配だったが、実際に冷えたのは最初の三十分だけだった。
寝袋の中が濡れないほうが、朝の体感はずっと暖かい。

それでも動かないときは、風を作る

風の無い夜、林の中や谷筋では、開けても空気が動かないことがある。
そういう夜は素直に道具に頼るようにした。

使っているのは小さなクリップ式のファンで、天井に向けずに、斜め上へ弱で回しておく。
強くする必要はない。
空気が止まっていないという状態を作れれば、生地の一点だけが冷えるのを防げる。

電池式のものだと一晩は持たないので、充電式で容量の大きいものを選んだほうがいい。
ここをけちると、朝方のいちばん冷える時間に止まっている。

背中が濡れる原因は、天井ではなく床にあった

もうひとつ、長いこと原因を取り違えていたところがある。
朝、寝袋の背中側だけが湿っているのは、天井から落ちた水ではなかった。

地面はいちばん冷たい。
その上に敷いたマットの下側で、同じことが起きている。
上からは体温、下からは地面の冷え。
挟まれた面で水に戻る。

ここは風では解決しない。
できるのは、冷たいものと自分の間に層を足すことだ。
マットの下にもう一枚はさむと、朝どけたときの濡れ方がまるで違う。
床の話は傾きと段差を直したら朝まで寝られた回にも書いたけれど、寝心地と乾き具合はだいたい同じところで決まっている。

寝袋の下に除湿用のシートを一枚入れるのも効く。
もともと家の布団用に売られているもので、湿気を吸って、干せばまた使える。
色で吸い具合が分かるものを選ぶと、どれくらい水が出ているかが目で確認できて、けっこう驚く。

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拭く道具を替えたら、朝が短くなった

それでもゼロにはならないので、最後は拭く。
ここで手持ちのタオルを使うのをやめた。

普通のタオルは、水を吸うと重くなって、そこから先は塗り広げているだけになる。
洗車用の吸水クロスに替えたら、同じ面積を三分の一の手数で拭けるようになった。
絞ればまたすぐ吸うので、一枚で足りる。

拭き方にも順番がある。
先に天井、次に壁、最後に床。
逆からやると、上から落ちてきた水でまた床が濡れる。

拭き終わったら、外側も一度なでておく。
朝露が乗ったまま畳むと、家に着く頃には匂いが出ている。
濡れたまましまうと何が起きるかは、洗わずにしまった寝袋の回で一度痛い目を見た。

結露は無くならない。
水を出しているのは自分自身だから、出さない方法が無いのだ。
できるのは、出た水をその場に留めないことと、冷たい面を作らないことの二つだけだった。

朝の二十分は、いまは五分くらいで終わっている。
買い足したのは千円ちょっとのクロスと、小さいファンだけだ。

→ テントの選び方をまとめた記事はこちら

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