さんま・さばの脂の乗りを見分ける3つのサイン|安さに釣られて選んでいたのは、いちばん脂の薄い一尾だった
秋の道の駅で、安いさんまを掴んで帰ったら脂がなかった。
見ていた場所が違っていたと、魚屋の目つきを思い出して気づいた。
秋の道の駅で、さんまを二尾選んで帰ったことがある。
値段は同じ、大きさもほぼ同じに見えた。
家で焼いてみたら、片方はぱさぱさで、もう片方はちゃんと脂がのっていた。
見た目が同じなら中身も同じだろうと思っていたのが、そもそもの勘違いだった。
差は、僕が見ていなかった場所に出ていた。
板場にいた頃、秋になると仕入れの人がさんまとさばを見る目つきが変わるのを、そばで見ていた。
値段の札より先に、体の一部分だけを見ていた。
あれを思い出して、今年は道の駅で同じところを見てみることにした。
さんまは「頭と胴のバランス」で見る
さんまを選ぶとき、僕はずっと大きさと値段だけを見ていた。
発泡スチロールの箱に書いてある数字は尾数の目安で、数字が小さいほど一尾が大きいという意味しかない。
大きい魚のほうが脂がのっているだろう、と決めつけていたのが最初のつまずきだった。
実際に見るのは、頭と胴の比率だと教わった。
頭が小さく、胴のほうが太く盛り上がっているものほど脂がのっている。
横から見て、頭のうしろ、肩にあたる部分が出っ張っているかどうかも同じことを見ている合図になる。
体つきそのものに、すでに答えが出ている。
そこへ鮮度の見方を重ねる。
目が澄んで黒目がはっきりしているか。
腹が銀色に張って、ぴんとしているか。
ここまで確かめて、ようやく一尾を選べる。
さばは「皮目の筋」で見る
さばは、さんまとは見る場所が違う。
旬そのものが年に何度かあって、脂が濃くなるのは晩秋から冬にかけて。
十月十一月ごろのものは「秋さば」と呼ばれ、そこから冬にかけてさらに脂がのっていく。
切り身の皮のすぐ下に、白い霜降りのような細い筋が入っていることがある。
あれは脂の層で、線が多く入っているものほど脂がのっていると教わった。
丸のまま買うときは、エラぶたを持ち上げて中の色を見る。
鮮やかな赤なら新鮮、薄いピンクや茶色っぽいものは避けたほうがいい。
腹に張りがあって、触ると弾力が返ってくるかどうかも一緒に見ている。
道の駅で見る順番を変えた
魚を選ぶときに僕がいつも見ている場所は、目とエラと腹の三点で、これは前に書いた(道の駅の鮮魚コーナーで、僕が必ず見ている3つのところ)。
あれはどんな魚にも使える鮮度の見方で、脂の乗り方までは教えてくれない。
いまは順番を変えて、まず魚種ごとの脂のサイン(さんまなら頭と胴のバランス、さばなら皮目の筋)を先に見て、そのあとで目とエラと腹の三点に進む。
脂がのっていても鮮度が落ちていれば台無しになるし、鮮度が良くても脂が薄ければ焼いてもの足りない。
二つは別の話で、どちらか一方だけ見ていた自分に気づいた。
持ち帰りは、青魚として扱う
さばはいわゆる青魚で、ここから先は他の白身魚と同じようには扱えない。
温度が上がった時間がそのまま効いてくる話は前に書いた(焼けば大丈夫、が通じない魚がある。夏に青魚を車で運ぶときの話)ので、ここでは繰り返さない。
買ったらすぐ冷やす、丸のままなら早めに内臓を抜く。
脂がのっているのを確かめて選んだ一尾を、持ち帰る段階で無駄にしたくない。
調理そのものの道具は、家にあるもので足りる(調理まわりのギア一覧へ)。
今回変えたのは選び方だけで、道具を買い足す話ではない。
見る場所を変えただけで、外れが減った
今年の秋は、頭と胴のバランスと、皮目の筋を先に見るようにした。
値段とサイズだけで選んでいたころに比べて、家で焼いたときにぱさぱさだったということが減った。
魚屋が値段の札より先に見ていたのは、結局その一点だったんだと思う。