2026.09.23 泊まれる場所4,223 立ち寄りスポット59,693 営業中を確認したキャンプ場1,005 note を読む

キャンプマットのR値の目安|背中が冷たいのは寝袋ではなくマットの担当

寝袋の保温は、体の下では潰れて効かない。
そこを受け持つ数字はマットのほうにあって、しかも重ねると足せる。

九月に入ると、夜の冷え方が変わる。

先月までは暑くて眠れなかったのに、明け方に目が覚める。
それも、体全体が寒いのではない。
背中の、床に触れているところだけが冷たい。
秋のキャンプや車中泊で、よく聞く話だ。

寝袋は、数字を三つ見て選ぶという話を前に書いた。
快適使用温度を基準に選んだ寝袋でも、この冷たさは消えないことがある。
理由は、寝袋の側にはない。

寝袋は、体の下では仕事をしていない

寝袋があたたかいのは、中の綿や羽毛が空気を抱えこんでいるからだ。
空気の層が熱を逃がさない。

その層は、体重がかかると潰れる。
上に載っている部分はふくらんだままだけれど、体の下に敷かれた部分は薄い布に戻る。

つまり、背中側は寝袋の担当ではない。
そこを受け持つのはマットのほうだ。

寒い夜に寝袋だけを疑うのは、疑う場所が最初から違っている。

マットの断熱には、R値という数字がある

R値は、熱の伝わりにくさを表す数字だ。
大きいほど通しにくい。

おもしろいのは、この数字が世界共通の測り方に揃ったのが、そんなに昔ではないことだ。
ASTM F3340 という規格が承認されたのが2019年の秋で、NEMO のような主要メーカーが業界標準の策定に関わっている。

測り方が具体的で、読むとイメージしやすい。
摂氏20度の密閉した空間で、マットを二枚の金属板ではさむ。
上の板は人が寝ている状態を模して2kPaの圧力をかけ、体温に近い35度に保つ。
下の板はキャンプ地の地面を想定して5度に保つ。
上の板が35度を保ち続けるのに、どれだけのエネルギーが要るかを測る。

エネルギーがたくさん要るなら、熱が下へ逃げている。
少なくて済むなら、マットが止めている。

規格ができる前は、業界全体で標準化された測り方が存在しなかった。
各社が自分のやり方で出した数字が並んでいたので、メーカーをまたいで比べることができなかった。

だから、古い商品の「断熱性抜群」とか「冬でも快適」といった言葉は、いまの数字と並べても意味がない。
比べられるのは、F3340 で測ったと分かっている数字どうしだけだ。

目安は、四つに分かれている

どのくらいの数字が要るのか。
メーカーや販売店が出している目安を並べると、だいたい同じところに落ち着く。

R値1から2で夏。
2から4で春から秋までの三シーズン。
4から6で冬。
それ以上が高所や極地まで。

平地の九月の頭なら、三シーズンの下のほうで足りることが多い。
十月の後半から先は、4を目安に考えるといい。

ただし、この目安は目安でしかない。
同じ気温で快適に眠れるかどうかは人によってかなり違う、と各社がわざわざ書いている。
寒がりな人は、目安より一段上を見ておくと安心だと思う。

いちばん役に立ったのは「足せる」ということ

R値の性質でいちばん実用的なのが、重ねると足せることだ。

NEMO が自社の製品で例を出している。
テンサートレイル(R2.8)とスイッチバック(R2.0)を重ねると、R値4.8のマットと同じくらいの断熱になる。
山と道の記事にも、R0.7のパッドを二枚重ねて1.4になる、という書き方が出てくる。

これが分かると、冬用のマットを買い直さずに済む場合がある。

手持ちのマットの下に、安い銀マットを一枚敷く。
それだけで断熱の層が一枚増える。
しかも銀マットは薄くて、丸めれば助手席の足元に入る。

車中泊なら、いつも敷いているマットの下に、寒くなる時期だけ銀マットを足す使い方ができる。
買い替えではなく、足す。

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車の床は、キャンプ場の地面より冷えることがある

地面の上にテントを張るのと、車の中で寝るのとでは、下側の条件が違う。

土は、日中に受けた熱をしばらく持っている。
夜になっても、地面のほうが空気よりあたたかい時間帯がある。

車の床は金属で、その下は空気だ。
風が下を抜けていくので、外気の温度がそのまま上がってくる。
床の傾きと段差を先に直す話を前に書いたけれど、平らにしたうえで、冷たさも切らないといけない。

車の中のほうが、体感で一段寒く感じることもある。
数字の目安を車中泊にそのまま当てるときは、そこを少し足して考えたほうがいい。

重ねる順番と、気をつけたいこと

重ねる順番は、断熱を下、寝心地を上にするのが基本だ。
薄くて冷たさを止めるものを床側へ、厚くてやわらかいものを体側へ。
逆にすると、せっかくのクッションが冷たい床に押しつけられる。

銀マットの銀の面をどちらへ向けるかは、説明がまちまちだ。
確かめた数字が無いので、ここでは決まりとして書かない。

もう一つ気をつけたいのが、R値の書いていないマットの扱いだ。
「数字が書いていない=断熱がない」ではない。
ただ、比べる材料がないので、比較の話をするときは表に載せない。

安いマットが悪いという話でもない。
安い銀マットでも、層を一枚足す役には立つ。
数字が要るのは、どれを買うか迷っているときだけだと思う。

背中だけが冷たいなら、寝袋を買い替える前に、マットの下に一枚足してみてほしい。

出典

※ 数値は2026年9月5日時点で各ページを確認したものです。快適に眠れる温度には個人差があります。

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