しまっておいたランタンの中で、電池が液漏れしていた
夏じゅう使ったランタンを、電池を入れたまま箱に戻していた。
次に開けたとき、端子のまわりが白い粉で固まっていた。
夏のあいだ、ほぼ毎晩どこかで点けていたランタンがある。
最後に使ったのは八月のはじめで、片づけるときに電池を抜いた覚えがない。
先週その箱を開けたら、電池ボックスの中が白くなっていた。
粉のようなものが端子のまわりに固まっていて、指で触ろうとして手を止めた。
液漏れだった。
結論から書くと、いちばん効くのは「使い終わったら抜く」だけだ。
それが分かっているのに毎年やってしまうので、なぜ入れっぱなしがまずいのかと、やってしまったときにどうするかを、自分のために整理しておく。
電池がいちばん傷むのは、使っている最中ではない
アルカリ乾電池は、放電が進んでいくと内部でガスが出る。
圧力が上がりすぎると壊れてしまうので、逃がすための仕組みが最初から入っていて、そこから中の液がしみ出してくる。
これが液漏れで、機械が壊れているというより、限界まで使われた電池が設計どおりに逃がした結果に近い。
やっかいなのは、機器に入れっぱなしの電池が「使っていない」わけではないところだ。
スイッチを切っていても、待機の表示や内部の時計のために、ごくわずかな電気が流れ続けているものがある。
半年かけてゆっくり空になっていって、空になったあともそこに置かれ続ける。
使い切った電池を機器の中で放置する状態がいちばん危ない、というのはそういう理由だ。
もうひとつ、僕がやりがちだったのが混ぜて使うことだった。
四本のうち二本だけ手元にあった古いものを足す、銘柄の違うものを混ぜる、残量の違うものを組み合わせる。
直列でつながっているので、弱い一本が先に空になり、そのあとも他の三本に押されて電気を流し続けることになる。
この「押される」状態が、液漏れにいちばん近いところにある。
白い粉を見つけたら、まず触らない
漏れてくる液は強いアルカリ性で、皮膚につくとよくない。
乾いて白く固まっている粉も同じものが乾いただけなので、指でこすり落とすのはやめたほうがいい。
僕がやっているのはこの順番だ。
電池を抜くときは、まず薄い手袋をする。
使い捨てのもので構わないし、無ければビニール袋を手にかぶせるだけでもいい。
抜いた電池はそのまま袋に入れて口を縛る。
粉は乾いた布か綿棒で、外へ払うのではなく拭き取る方向で落とす。
息を吹きかけて飛ばすのは、粉が目に向かうのでやめたほうがいい。
水をたっぷり使って洗い流したくなるが、機器の中身を濡らすと別の故障になるので、湿らせた綿棒で拭いて、そのあと乾いた側で水気を取る程度にとどめている。
もし皮膚についたら、こすらずに水でよく流す。
目に入った場合は流したうえで医者にかかること。
ここだけは自己判断しないほうがいい。
抜いた電池の捨て方は自治体ごとに違う。
燃えないゴミでいい地域もあれば、回収箱に出す地域もあるので、住んでいるところの案内を見てほしい。
端子が白いままだと、新しい電池を入れても点かない
粉を落としたつもりでも、金属のばねや接点に薄い膜が残っていることがある。
そうすると新しい電池を入れても、点かない、暗い、しばらくすると消える、といった症状が出る。
電池が悪いと思って何本も入れ替えて、原因が接点だったという回り道を僕は二回やった。
膜が残っているときは、乾いた綿棒でこすってから、接点の復活をうたうスプレーを綿棒に少し取って拭く。
機器に直接吹きつけると余計なところまで回るので、僕は必ず綿棒に取ってから使っている。
それでも通電しない、ばねが錆びて折れそう、というところまで来ていたら、無理に使い続けないほうがいい。
ここはファスナーが渋くなったときに油を差す前にやることがあった話と考え方が同じで、動きが悪いときにいきなり薬を足すより、先に汚れを落としたほうが早いことが多い。
入れっぱなしをやめるための、僕なりの仕組み
気をつける、では毎年やってしまうので、置き方のほうを変えた。
ひとつめは、しまう箱に電池を入れないこと。
抜いた電池は道具と同じ箱に入れず、電池だけの小さいケースにまとめて別に置く。
同じ箱に入れておくと、次に使うときそのまま戻せて便利なのだが、その便利さがそっくり入れっぱなしにつながる。
ふたつめは、使う頻度で電池を分けること。
毎回使うヘッドライトのようなものは繰り返し使える充電池にして、年に数回しか出さない予備のライトには、長期の保存に向いた乾電池を入れずに空のまま置いておく。
充電池は自己放電が少ないものを選ぶと、半年置いても実用になる残り方をする。
アルカリ乾電池に比べると構造として液漏れが起きにくいとされていて、僕の手元でも入れっぱなしで漏らしたことはまだない。
みっつめは、買うときに液漏れ対策をうたっているかを見ること。
乾電池は値段の幅が小さいので、まとめ買いするなら防止をうたっているもののほうを選んでいる。
それでも「入れっぱなしなら漏れない」という意味ではないので、抜くのをやめる理由にはしていない。
買った日を電池の側面にペンで書いておくのも、地味に効いた。
古いのがどれか分からなくなると、さっき書いた「混ぜて使う」をやってしまうからだ。
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しまう前のひと手間に、電池を足した
以前、焚き火台をしまう前のひと手間で寿命が変わる話を書いた。
灰を落とすとか、濡れたまま袋に入れないとか、片づけの最後の一分の話だ。
ランタンやライトにも同じ一分があって、それが電池を抜くことだった。
点くかどうかは目に見えるので、みんな出発前に確かめる。
片づけるときは点かなくていいので、そのまま箱に入る。
壊れる場所が、いちばん見ない時間の中にある。
ヘッドライトを明るさで選んで失敗した話を書いたときにも思ったが、灯りの道具は買うときだけ真剣になりやすい。
値段や明るさの差より、次に開けたときに点くかどうかのほうが、実際の夜には効いている。