焚き火台は、大きさより「薪が入るか」で選ぶ。売店で買った薪が載らなかった日から
初めて買った焚き火台に、買ってきた薪が載らなかった。
その晩は、ひざで折りながら燃やした。
初めて焚き火台を買った日、僕はキャンプ場の売店で薪を一束買った。
そのまま焚き火台の上に置こうとして、置けなかった。
薪のほうが長かった。
斜めに立てかけてみたけれど、燃えていくうちに崩れて、半分が外に落ちた。
結局その晩は、薪をひざで折って短くしながら燃やした。手が痛くなった。
焚き火台を選ぶとき、僕はずっと本体のことばかり見ていた。
先に測るべきだったのは、薪のほうだった。
売っている薪の長さは、だいたい決まっている
キャンプ場やホームセンターで売っている薪は、35cm前後のものが多い。
30cmくらいのものもあれば、40cmを超えるものもある。
いっぽう、ひとり用として売られている小さな焚き火台は、燃やす面が20cm台のものが少なくない。
数字だけ見れば十センチ以上足りていない。
売り場では、この二つが別々の棚に並んでいる。
だから僕は、焚き火台の大きさを「持ち運びやすさ」の話としてしか見ていなかった。
小さいほうが軽くていい、くらいの気持ちで選んだ。
いま焚き火台を見るときは、寸法のところを先に見る。
そこに書いてある数字が35を超えているかどうか。
超えていないなら、薪を割るか、短いものを選ぶ前提で買う。それはそれで構わない。決めていないまま買うのがよくない。
燃え方が、大きく二種類ある
形の話をすると、いま売られているものはだいたい二つに分かれる。
ひとつは、上が開いた受け皿の形。
薪をそのまま横に寝かせて置ける。火の面が広いので、上に網や鍋を載せるのがやりやすい。
そのかわり、燃え残りや煙は素直に出る。
もうひとつは、筒の形をした二次燃焼のもの。
壁が二重になっていて、下から入った空気が壁のあいだで温められ、上のほうの穴から火の中へ戻る。
そのぶん燃え残った煙がもう一度燃えるので、煙が出にくく、灰も少なく済む。
ただし筒なので、入る薪は短い。細く割ったものを立てて入れる形になる。
上に鍋を載せられるものもあるけれど、口が狭いので、大きなフライパンは載らないことが多い。
煙が出にくい、というのは、思っていたより効く。
煙は温度が足りないときに出やすくて、煙が顔のほうに来る話を書いたときにも同じところに行き着いた。
二次燃焼の筒は、その温度を構造で作りにいく道具だと思っている。
どちらが優れている、という話ではない。
料理をするなら受け皿の形、火そのものを眺めたい日や、洗い物を減らしたい日は筒。
僕はいま両方を持っていて、その日の予定で持ち出すほうを変えている。
板の厚みは、片付けのときに効いてくる
買ってから一年たって、はっきり差が出たのは板の厚みだった。
安く軽い焚き火台は、板が薄い。
薄いステンレスは、何度も高い温度にさらされると歪む。
歪むと何が困るかというと、畳めなくなる。組み立て式のものは、噛み合わせがずれた瞬間にきれいに収まらなくなる。
僕の一台目は、三回目くらいで底板が少し反った。
使えないほどではないけれど、袋に入れるたびに押し込むことになった。
厚い板のものは歪まないかわりに、重い。
背負って歩くなら薄いほうがいいし、車に積むだけなら厚いほうが長く使える。
ここは値段と、その人の運び方で決まる。
ただ「安くて軽い」を選ぶときは、消耗品に近い買い方をしているのだと分かったうえで選ぶといい。
地面のために、一枚敷く
もうひとつ、買ったときには要らないと思っていたのに、いまは必ず持っていくものがある。
焚き火台の下に敷くシートだ。
焚き火台を使っていても、下の地面は熱くなる。
芝生のサイトだと、使ったあとに丸く色が変わる。
火のついた小さな欠片が落ちることもある。
直火を禁止しているキャンプ場は多いけれど、その理由の半分は地面を守ることにある。
焚き火台を使っていても、シートを敷いていなければ、結局は同じことをしていることになる。
片付けも楽になった。
こぼれた灰や炭がシートの上に乗るので、そのまま持ち上げてまとめられる。
忘れた日は、暗い中で地面の炭を拾うことになる。あれは本当に面倒だ。
いま選ぶなら、この三つを見る
焚き火台を人に聞かれたら、僕はこの順で見てくださいと言っている。
ひとつ、使う予定の薪が入る長さかどうか。
ふたつ、料理をしたいのか、火を眺めたいのか。前者なら受け皿の形、後者なら筒でもいい。
みっつ、畳んだときの厚みと重さ。どこにしまうかまで想像してから決める。
明るさで選んで失敗したヘッドライトのときも、二種類あることを知らずに買ったガス缶のときもそうだったけれど、道具は目立つ数字のところで選ぶと、たいてい別のところでつまずく。
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あの日ひざで薪を折ったのは、たぶん無駄ではなかった。
おかげで、寸法の欄を先に見る癖がついた。