夜中に目が覚めるのは、暑い空気のせいではなかった。濡れていたのは背中だけ

扇風機を回しても、窓を開けても、夜中に一度は目が覚める。
触ってみると、汗をかいているのは背中だけだった。
足りなかったのは風ではなく、体の下の逃げ場だった。

八月の車中泊で、扇風機を回して窓も少し開けているのに、夜中に一度は必ず目が覚める。
起きて触ってみると、汗をかいているのは背中だけだった。
顔も腕も乾いているのに、体の下だけが濡れている。

それに気づいてから、涼しくする道具を増やすのをやめた。
足りていなかったのは風ではなく、体の下に逃げ場がないことのほうだった。

下だけは、風が当たらない

寝ているあいだ、体は一晩じゅう熱を出し続けている。
上を向いている面は、空気に触れているので勝手に逃げていく。
扇風機を回せば、その逃げ方が早くなる。

下は違う。
敷いたものと自分の体で挟まれていて、空気が動かない。
出た熱がそこにたまり、たまった熱が汗を呼び、汗が乾かないのでまた熱がこもる。

やっかいなのは、寝るときに敷いているものが、たいてい断熱のためのものだということだ。
マットは地面や床の冷たさを遮るために厚みがある。
冬にありがたいその性質が、夏はそのまま裏目に出る。
窓に断熱シートを貼って外の熱を止めた話を書いたけれど(車の窓は、そのまま外気だった)、内側でも同じことが起きていた。

敷く - 冷たさは「もらう」のではなく「渡す」

いちばん手軽なのが、上に一枚かぶせる接触冷感の敷きパッドだ。
触った瞬間にひやりとするのは、その生地が熱を早く受け取るからで、生地そのものが冷えているわけではない。

ここを勘違いすると、あれは最初だけだった、という感想になる。
受け取る側が満杯になれば、それ以上は動かない。
だから、しばらくして体をずらすと、また冷たいところに当たる。

選ぶときに見ているのは、冷たさの数字より、洗えるかどうかと、裏表が使い分けられるかどうかだ。
外で使うものは、砂も汗も入る。
洗って翌週も同じ状態で使えることのほうが、実際の快適さに効く。
片面が冷感、もう片面がふつうの生地になっているものなら、涼しくなってきた時期にそのまま使い続けられる。

浮かせる - 下に空気を通してしまう

手を入れる場所を根本から変えるなら、体を床から浮かせるのが早い。
脚のついた寝台のかたちにすると、背中の下に空気の通り道ができる。
扇風機の風も、そこを通せるようになる。

実際に使ってみて分かったのは、涼しさより先に、朝の背中の濡れ方が変わることだった。
ぬるい空気でも、動いてさえいれば汗は乾く。
動かない空気の中で寝ていたのが、そもそもの問題だった。

弱点もはっきりしている。
畳んでも場所を取るし、テントの中では立ち上がる高さが減る。
それと、これは夏の使い方で、寒い時期に同じことをやると下から冷えて眠れない。
季節で敷き方を変える、という前提の道具だと思っている。

頭を冷やす - 効く面積がいちばん小さい

全部を冷やそうとすると電気がいる。
そこまでしなくても、頭と首の後ろだけで寝つきはずいぶん変わる。
枕の上に一枚のせるだけなので、荷物としてもいちばん軽い。

保冷剤を直接あてるのは、やってみたけれど続かなかった。
冷たすぎて痛くなるし、結露で枕が濡れる。
当てるならタオルを一枚はさんで、凍らせ方も調整したほうがいい。

いま持っていくのは、頭が当たる面だけ接触冷感になっているものだ。
ずれても落ちない大きさで、洗えるもの。
これを足した日から、夜中に起きる回数が減った。

順番でいうと、下から

まとめると、僕の順番はこうなった。
まず敷くものを見直して、それでも足りなければ浮かせて、最後に頭を冷やす。
扇風機やエアコンは、この三つのあとに足すものだと思っている。

空気を冷やすには電気がいるけれど、体から熱を逃がすのは形でできる。
電気の使える量が限られている車の中では、この違いが効く。
暑くて眠れない夜が続いているなら、風の当て方より先に、背中の下を疑ってみてほしい。

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