2026.09.15 泊まれる場所4,223 立ち寄りスポット46,522 営業中を確認したキャンプ場1,005 note を読む

Googleの広告事業は分割されなかった。代わりに、オークションの三つのルールが消えた

先に見る権利と、最後に見る権利。
それがオークションだと言われて、僕らはずっとそこに広告枠を出していた。

Googleの広告事業を切り離すかどうか、という裁判があった。
その答えが、9月2日に出た。

切り離しは命じられなかった。
ニュースの見出しはだいたいそこで止まっている。

僕が気になったのは、その代わりに何が禁止されたかのほうだ。
読んでみたら、これまで当たり前だと思って見ていた広告の値段の付き方が、そもそも公平ではなかったという話だった。

何があったのか

アメリカ・バージニア州東部地区の連邦地方裁判所で、リオニー・ブリンケマ判事が判断を出した。
司法省が求めていたのは、GoogleのAdX(広告の取引所)と、媒体側が使う広告配信サーバーを手放させることだった。
判事はそれを認めなかった。

売却を認めなかった理由として報じられているのは、そもそも買える相手が見当たらないこと、そして三年から五年かかる売却手続きが終わるころには市場のほうが先に動いてしまっていること、だった。

代わりに命じられたのは、やり方を変えることだ。
報じられているものを並べると、こうなる。

ひとつ、ファーストルック。
表示枠が一つ空くたびに、GoogleのAdXが他の取引所より先に入札できていた仕組み。これが禁止になる。

ふたつ、ラストルック。
他社が出した最高額を見たあとで、AdXが自分の額を決められた仕組み。これも禁止。

みっつ、統一価格ルール。
2019年に入った決まりで、媒体側が「Googleにだけ高い最低価格を設定する」ということができなくなっていた。これが撤廃される。

あとは、AdXの入札データを他社の広告サーバーにも渡すこと。
そして六年間、ちゃんと守っているかを監視すること。

意見書の中身は十四日間封印され、三十日以内に両者で最終的な判決案を出す。
実際に効き始めるのは一年ほど先だと報じられている。

僕がひっかかったところ

まず、名前がひどい。
ファーストルックとラストルック。
先に見る権利と、最後に見る権利。

これがオークションだと言われて、僕らはずっとそこに出していたことになる。
カードを配ったあとで、配った本人が全員の手札を見てから自分の手を決めていた、という話だ。
それが違法だと認定されたのはもう決着がついていて、今回は「じゃあどうするか」の判断だった。

次にひっかかったのが、三つめの統一価格ルールだ。
これがいちばん、媒体の取り分に直接効く。

これまでは、どの買い手に対しても同じ最低価格しか置けなかった。
これから媒体は、入札者ごとに下限を変えられる。
「うちの枠をGoogleに買わせるなら、この額からだ」と言えるようになるということだ。

そこまで読んで、少ししぼんだ。
その権利を使えるのは、複数の取引所を並べて競わせている規模の媒体だけだ。

うちのような個人のサイトは、広告のタグを一枚貼っているだけで、値段を決める交渉のテーブルには最初から着いていない。
下限を設定する画面すら見たことがない。
不公平が直っても、直った先の恩恵は、直せる立場の人のところに行く。

もうひとつ思ったのは、時間のことだ。
これから最終判決案があって、効き始めるのが一年後、監視が六年。
そのあいだにも表示は毎日売られている。

過去に取りそこねていたぶんは、当然だけど戻ってこない。
ここ数年、広告の単価が思ったより上がらないなと感じていた人は、その理由の一部がやっと片づいた、というところまでしか受け取れない。

で、僕はどうするか

三つ決めた。

ひとつめ。広告の単価を、いまのうちに控えておく。
うちのサイトは広告で回っているわけではないけれど、数字が動いたかどうかを見るには、動く前の数字がいる。
一年後に「上がった気がする」と言っても、比べるものがなければ何も分からない。

ふたつめ。収入を広告一本に寄せない、という方針は変えない。
今回の件で分かったのは、値段の決まり方が自分の手の届かないところにあるということだった。
ルールが良くなったから乗る、という判断は、悪くなったときに同じだけ揺さぶられる。

みっつめ。この件を、検索から人が来なくなる話と別々に考えないようにする。
AIの要約が押さなくても開くようになった話を先日書いたけれど、表示が減れば、単価が上がっても掛け算の答えは増えない。
オークションが公平になることと、そのオークションにかかる枠が残っていることは、別の問題だ。

それでも、悪い知らせだとは思っていない。
先に見る権利と最後に見る権利が消えるのは、遅くても、消えないよりずっといい。
僕みたいな小さいところが直接得をするかは分からないけれど、ちゃんと交渉できる媒体が値段を上げられるようになれば、全体の相場はその上に乗る。

期待しすぎず、数字だけ控えておく。
今日はそこまでにしておく。

出典

※ 2026年9月4日時点で各ページを確認しました。意見書そのものは封印中で、細かい条件は公開後に変わる可能性があります。

まる子パパ

まる子パパ

会社員。受託開発のエンジニアで、その前は寿司職人・長距離運転手・農業。 技術ブログは、キャンプの合間に踏んだバグと、AI・Web開発の運用の失敗を書いています。 このサイト自体が、開発に携わっているCMS「コンテナ」の稼働中の実例です。 このサイトについて

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