2026.09.15 泊まれる場所4,223 立ち寄りスポット46,522 営業中を確認したキャンプ場1,005 note を読む

AIの値段で下がったのは、僕が毎日おなじものを送っている部分だった。Claude Fable 5.1 の話

入力も出力も据え置きで、キャッシュの読み込みだけが75%引きになった。
安くなったのは、僕の使い方が雑だったところだった。

新しいモデルが出た、という知らせには、正直あまり反応しなくなっていた。
数字が少し上がって、名前が一つ増える。
僕の手元でやることは、たいてい何も変わらない。

今週アンソロピックが出したものは、少しだけ様子が違った。
上がったのは性能の数字だけれど、僕がしばらく見つめていたのは値段表のほうだった。

何があったのか

9月1日に、Claude Fable 5.1 と Claude Mythos 5.1 が公開された。
コーディングと知識労働向けの、いまのところ最上位という位置づけになっている。

面白いのは、この二つが中身としては同じモデルだということだ。
違うのは、かけてある安全機構の強さだけ。

Fable 5.1 は誰でも使えるほうで、通常の安全機構が入っている。
Mythos 5.1 はその機構をゆるめたほうで、審査を通ったサイバーセキュリティと生命科学の組織だけが、限られた枠組みを通して使える。しかも現時点ではアメリカの組織に限られている。

性能のほうは、公表されている数字を並べるとこうなる。
科学分野のターミナル操作を測るベンチマークで、Fable 5.1 が52.6%。前の Fable 5 は24.7%だった。
コーディングの評価では73.4%(前は70.5%)、道具を使わせた難問集では65.0%(前は63.8%)。
伸び方に偏りがある。

そして値段。
入力が百万トークンあたり10ドル、出力が50ドル。ここは前と同じで据え置きだ。
下がったのはキャッシュを読むときの値段で、百万トークンあたり0.25ドル。75%引きになった。

僕がひっかかったところ

ひとつめ。
値下げされたのが「キャッシュの読み込みだけ」だったのが、いちばん引っかかった。

これは、新しく書かせる部分が安くなったという話ではない。
毎回同じものを読ませている部分が安くなった、という話だ。

うちのブログは、毎日AIに書かせている部分がある。
そのとき僕が毎回投げているのは、文章の規約と、これまで何を書いたかの台帳と、やってはいけないことの一覧だ。
中身はほとんど変わらない。
変わるのは、今日の題材の数行だけ。

つまり僕が毎日払っていたお金の大半は、同じ紙を何度も読み上げてもらう料金だった。
そこが四分の一になる。

気持ちのいい話に見えて、少し引っかかったのはそのあとだった。
安くなったのは、僕が「毎回同じものを送る」という無駄な形で使っているからだ。
値段が下がることで、その形を直す動機のほうが消える。

前に、同じ文章なのに数えられるトークンが三割増えていたという話を書いた。
数え方は自分ではどうにもできない。
でも、同じものを何回送るかは自分で決められる。
そっちを放り出したまま安さに乗るのは、たぶんいつか高くつく。

ふたつめ。
同じモデルを二つの名前で出す、というやり方のほうだ。

強さは同じで、外してある枷が違う。
そして枷が外れているほうは、審査を通った相手にだけ渡す。

この形を、今週もう一つ別の会社でも見た。
OpenAI が、自社のモデルのサイバー能力を自分たちの基準でいちばん上の段階だと認めたうえで、その強い部分は選んだ組織にだけ配ると発表している。

偶然だと思うけれど、同じ週に、二社が同じ設計を見せた。
これから製品を分けるのは、モデルの強さそのものではなく、誰に対して枷を外すかのほうになっていくんだと思う。

そうなると、僕みたいな個人が触れるのは、いつも「枷のかかったほう」だ。
それが不満だとは思わない。
ただ、ニュースで見る性能の数字と、自分の手元に来るものが、これから少しずつ別のものになっていく。
そこは覚えておいたほうがいい。

で、僕はどうするか

三つ決めた。

ひとつめ。投げ方をキャッシュが効く形に寄せる。
変わらない部分を先頭にまとめて固定して、変わる部分を後ろに置く。
これは値下げがあってもなくてもやるべきことで、今回は背中を押されただけだ。

ふたつめ。安くなったからといって、使う量を増やさない。
前に値下げの記事を書いたときにも同じことを思ったけれど、安くなった分だけ雑に投げると、請求は結局同じところに落ち着く。
減らした分は、そのまま減らしておく。

みっつめ。乗り換えを急がない。
いまの書き方で困っていないうちは、名前が変わっただけで動かす理由にはならない。
伸びている数字が、自分の使い方と重なっているかどうかを先に見る。
今回でいえば、僕がやっているのは長い調査でも科学の実験でもなく、日本語の文章を書くことだ。

いちばん効くのは、たぶん値段でもモデルでもない。
同じものを何度も読ませない形に、自分の仕組みを直すことだった。
今週の値下げは、そこを先延ばしにしていい理由を一つ増やしてしまった、という話でもある。

出典

※ 価格とベンチマークの数値は、2026年9月4日時点で各ページを確認したものです。

まる子パパ

まる子パパ

会社員。受託開発のエンジニアで、その前は寿司職人・長距離運転手・農業。 技術ブログは、キャンプの合間に踏んだバグと、AI・Web開発の運用の失敗を書いています。 このサイト自体が、開発に携わっているCMS「コンテナ」の稼働中の実例です。 このサイトについて

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