均等に配分したら、なぜか住民満足度が96点になった

「選挙にGO!」の続編として、当選した後の話を作ることにした。
ところが地方財政のロジックは、このプロジェクトのどこにも存在しなかった。

市長になってみよう!をつくる第1回 / 全1回目次

参考にできるものが、ビルド構成しか無かった

「市長になってみよう!」は、選挙で当選した市長が予算配分をする続編として企画した。
着手前に「選挙にGO!」と「日本経済シミュレーション」を調べたが、地方自治体の予算配分に関するロジックはどちらにも存在しなかった。「選挙にGO!」の政権運営モードは予算案の可決・否決という抽象的な仕組みしか持たず、分野別に配分するという概念自体がない。「日本経済シミュレーション」は国全体のマクロ経済モデルで、市区町村の粒度をそもそも扱っていない。

流用できたのはビルド構成(Vite+TypeScript+単一HTML)と、複数年にわたって状態を引き継ぐ設計思想だけで、歳入・歳出・満足度・財政健全性の計算式は一から組み立てることになった。

裁量予算を6分野に均等割りしたら、ほぼ満点になった

教育・インフラ・福祉・防災・環境・産業振興の6分野に、配分できる予算をとりあえず均等に分けて動作確認したところ、総合満足度が96点という数字が出た。
内訳を見ると、教育やインフラは89点前後なのに、防災・環境・産業振興が軒並み100点近くに張り付いていた。

原因は単純だった。各分野の「標準的に必要な額」は目的別歳出構成比から算出しているが、民生費や教育費のように割合が大きい分野と、消防費や商工費のように割合が小さい分野とでは、必要な金額の桁が違う。均等に配分すると、必要額の小さい分野は簡単に必要額の何倍にもなり、配分を増やすほど満足度の伸びが鈍るカーブの天井にすぐ到達してしまう。

初期配分を均等割りから「必要額の比率に応じた配分」に変えたところ、教育・インフラのような重い分野にもきちんと予算が回るようになった。数式自体は正しくても、初期値の置き方ひとつで「配分に悩む」というゲームの核心が消えてしまうことを、実際にブラウザで動かして初めて気づいた。

「裁量できるのはごく一部」のはずが、6割あった

企画時点では「歳入の大半は最初から使い道が決まっており、裁量で動かせるのはごく一部」という説明文を書いていた。手取りを増やそう!の「税・社会保険料の重さを実感させる」設計を踏襲したつもりだった。

ところが実際に画面に出た数字を見ると、歳入合計1107.9億円に対して裁量予算は666.5億円、比率にして6割に達していた。義務的経費として固定しているのは扶助費と人件費・公債費だけなので、教育・インフラ・福祉裁量分・防災・環境・産業振興をすべて「自由に動かせる」側に寄せた設計上、当然の結果だった。

「ごく一部」という説明文は実態と合っていなかったので、「歳入の4割前後は最初から使い道が決まっており、残りの配分と地方債への依存度が住民満足度と財政の健全性を左右する」という、実際の数字に即した表現に書き直した。仕組みを作ってから出た数字で、企画時点の売り文句を検算し直す必要があるという、当たり前だが忘れがちなことを思い出した。

総務省の統計は、数字を実装にそのまま持ち込めなかった

目的別歳出構成比や人口規模別の財政規模は、総務省の「地方財政白書」「類似団体別市町村財政指数表」が毎年公表している。ただし実際に開いてみると、必要な数値は文章ではなく図表(画像やExcel/CSV)に入っており、この実装作業の中では正確な数値を確認できなかった。

民生費が最大でここ数年増えているという、広く知られた傾向だけは複数の情報源で確認できたので、その傾向を踏まえた設計値を暫定採用し、README と制度更新チェックリストの両方に「これは実測値ではなく設計値」と明記することにした。年金シミュレーターの振替加算基準額のときと同じ判断で、分からない数値を分かったふりで埋めない、という方針を続けている。

財政再生団体への転落は、テストで先に確認した

実質公債費比率が35%を超えると財政再生団体に転落し、新規の地方債発行ができなくなるという仕組みは、ブラウザで手探りするより先にテストコードで境界値を固めた。
標準財政需要額200億円のモデル都市に対して、1年目に150億円の地方債を一気に発行すると比率が46.5%まで跳ね上がって即座に転落し、2年目以降は新規発行が完全に止まる、というシナリオがテストで再現できることを先に確認してから、UIに配線した。

スタンプラリーに挑戦する 行った場所・気になる場所は、現地チェックインでスタンプに残せます。 みんなのコースを見てみる 会員が作ったスポット巡りのコースを都道府県から探せます。自分だけのコースも作れます。 運営者の個人noteも書いています AI活用やサイト運営で気づいたことを、もう少し個人の視点で掘り下げています。

※運営者が個人で書いているnoteです。

技術ブログ一覧へ戻る