元総理が落選しても、誰も気づかなかった
大物が出るようにした。当確が465回流れる開票速報のなかで、
その1行は完全に埋もれていた。
選挙にGO!をつくる第16回 / 全24回目次
前回、引退した大物が返り咲きを狙って出馬してくる仕組みを入れた。元総理、元幹事長、元大臣。レア度に応じて、出馬する回と出ない回がある。
実装したあと何度か開票を眺めていて、妙なことに気づいた。
元総理が落ちている。それも何度も。まったく気づいていなかった。
465行のなかの1行
開票速報は、当確が出た順に流れていく。小選挙区289+比例176で、全部で465行。
当選した人はそこに名前が出る。落選した人はどこにも出ない。それが普通の作りだ。
だが、選挙の夜に語られるのは当選者だけではない。
「大物、まさかの落選」というのは、むしろその夜いちばんのニュースになる。実際の開票特番でも、そういう場面にいちばん時間を割く。
速報に別枠を立てることにした。
肩書きを持った人物が議席を得られなかったとき——比例復活も含めて落ちたとき——だけ、赤い線の付いた行を流す。「元党首 落選」。当確の列とは色を変えて、埋もれないようにした。
これだけのことで、開票を見る気分がずいぶん変わった。
自分の選挙区の当落を待ちながら、遠くで大物が沈んでいくのが見える。選挙の夜の手触りに、少し近づいたと思う。
参議院にも同じものを
もう一つ、明らかな片手落ちがあった。元職が衆議院にしか出てこない。
参議院の候補者を作るコードは衆議院とは別経路で、そこに配線し忘れていた。
このゲームでは「衆院にあって参院にない」という抜けを何度も踏んでいる。以前は参院で候補者が死んでも訃報が出ず、そのまま開票へ進めてしまうバグがあった。今回もまったく同じ形だ。
参院は県がそのまま選挙区なので、衆院のように区番号を指定する必要はない。その土地ゆかりの元職が、改選のたびに抽選される。合区(鳥取・島根、徳島・高知)にも現れる。
25回まわしたら延べ87人が出馬してきた。石場茂之(元防衛大臣)が鳥取・島根の合区に立つ、という絵は悪くない。
AIに「次の選挙」を見せるべきか
最後に残っていたのが、おまかせ進行の話だった。
選挙戦のAIは、その選挙の中しか見ない。党内影響力を積んでも今回の票は1票も増えないので、「党の会合に出る」は永久に選ばれない。
だが影響力は、次の選挙の公認争いと、任期のあいだに回ってくる椅子に効く。見えていないだけで、価値はある。
影響力にも小さな重みを与えて、動かしてみた。
結果、党務は相変わらず選ばれなかった。代わりに気づいたことがある。影響力は既に平均3.3ほど伸びていた。討論会や資金集めパーティーが、ついでに影響力を上げていたからだ(前に「入口が党の会合1本では少なすぎる」と足したもの)。
ここで手を止めて考えた。重みをもっと大きくすべきか。
やめておくことにした。
選挙戦のおまかせが見るべきなのは、その選挙に勝つことだ。目の前の票を落としてまで先の椅子を取りにいくのは、代わりに戦ってくれる人としては困る。影響力は「他の手と拮抗したときの差」としてだけ効かせて、それ以上は踏み込まない。
長い目で見る役目は、任期のあいだのおまかせが担っている。あちらは次の選挙を見据えて、足りないものを埋めにいく。役割を分けたほうが、どちらも素直に書ける。
テストにはこう書いた。「票が伸びる手があるなら、そちらを選ぶ(選挙戦の目的は当選すること)」。
仕様というのは、こういう一文で残しておくのがいちばん確実だと思う。
ゲームを1本作るときの進め方を、noteにまとめています(書いているのは私です)。
noteで読む
ほかにも書いています
受託・note・スタンプこういう仕組みを作る相談を受けています
毎日の更新・データ集め・集計の自動化/3万円〜収益がいくらだったか、どの施策が外れたか
note / 個人の視点で掘り下げていますスタンプラリーに挑戦する
行った場所は、現地チェックインで記録に残せます※受託の相談とnoteは、運営者が個人で受けている・書いているものです。
