2026.09.23 泊まれる場所4,223 立ち寄りスポット59,693 営業中を確認したキャンプ場1,005 note を読む

10月1日に嘘になる文章が、6か所あった

画面の説明文を読み返していて手が止まった。
「月額賃金8.8万円以上」と書いたこの一文は、10月1日から古い制度の説明になる。
数えたら、同じ趣旨の文がツールの中に6か所あった。

ツールの画面に出している説明文を、ひさしぶりに上から読み返していた。
直したいところがあったわけではない。note に書く題材を探していて、何を作ったか思い出そうとしていただけだった。

「週20時間以上・月額賃金8.8万円以上(年収106万円相当)で、勤務先の規模によっては自分で社会保険に入ることになる」。
この一文で手が止まった。これ、10月1日から嘘になる。

数えたら6か所あった

2025年に成立した年金制度改正法で、パートやアルバイトが厚生年金と健康保険に入る条件から、賃金要件が外れることになっている。
月額8.8万円、年収にしておよそ106万円という、あの「106万円の壁」の正体だ。厚生労働省は「令和8(2026)年10月に撤廃予定」と書いている。

撤廃されると、残る条件は週の所定労働時間が20時間以上であることと、勤務先の規模だけになる。
賃金は関係なくなる。つまり私のツールの説明文は、10月1日を境に古い制度を説明しはじめる。

「8.8万円」でツール全体を検索したら、6か所あった。
アドバイスの文面、学習カード、入力欄の注記、計算結果の下に出る注意書き。書いた本人でも全部は覚えていなかった。

直すだけなら30分で終わる。それが嫌だった

文面を書き換えて、判定の条件式から賃金の行を消す。作業としてはそれだけだ。

ただ、この改正はここで終わらない。
勤務先の規模の条件も、2027年10月に36人以上、2029年10月に21人以上、2032年10月に11人以上、そして2035年10月には条件そのものが無くなる。
今回と同じ作業が、あと4回ある。

2029年の秋に、私がこのツールのことを覚えている自信がなかった。
四半期ごとに制度を点検する仕組みは入れてあるけれど、点検して気づいたあとに手で直すのでは、気づかなかった年がそのまま穴になる。

制度のほうに、日付を持たせた

やり方を変えて、制度の変更そのものを表にした。
いつから何が変わるかを施行日つきで並べて、プログラムが今日の日付を見て「いま効いている制度」を選ぶ。

10月1日を過ぎたら、私が何もしなくても判定が切り替わる。説明文も切り替わる。
2035年10月の分まで先に入れてあるので、この先の4回も自動で通り過ぎていくはずだ。

ついでに、画面から制度の時点を選べるようにした。
いまの制度と、10月以降と、その先とを切り替えて、同じ年収のまま手取りがどう動くかを見られる。
勤務先の人数も選べるので、50人以下の会社なら自分の番が何年後に来るかも出る。

壁が消えるのではなく、降りてくる

できあがったもので試してみて、書いておかなければと思ったことがある。

「106万円の壁が無くなる」と聞くと、働く時間を抑えなくてよくなる良い話に読める。
でも東京都・35歳・協会けんぽ・年収100万円という条件で計算させたら、手取りが年に149,846円減った。
いま月8.8万円を超えないように働いて保険料ゼロの人が、10月からは負担する側に回るからだ。

壁が消えてなくなるというより、壁が年収0円の地点まで降りてくる、と言ったほうが近い。
もちろん厚生年金は増えるし、傷病手当金も使えるようになるので、損だけの話ではない。
ただ「手取りが減る月が来る」ことは、減ってから知るより前に知っておきたい。

制度を説明するものを作るというのは、制度が変わるたびに自分の書いたものが古くなるということだった。
そのことに、作りはじめて半年たってようやく慣れてきた気がする。

まる子パパ

まる子パパ

会社員。受託開発のエンジニアで、その前は寿司職人・長距離運転手・農業。 技術ブログは、キャンプの合間に踏んだバグと、AI・Web開発の運用の失敗を書いています。 このサイト自体が、開発に携わっているCMS「コンテナ」の稼働中の実例です。 このサイトについて

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