2026.09.15 泊まれる場所4,223 立ち寄りスポット46,522 営業中を確認したキャンプ場1,005 note を読む

保守契約の「対応範囲」を先に決める|「ついでにこれも」の一言で、見積もりにない仕事が始まった

「ついでに、このボタンの色も変えといてください」
軽い一言のはずが、見積もりに入っていない仕事の始まりだった。

保守契約で動いているお客さんから、バグ修正の依頼が来た。
ログイン画面のボタンが押しにくいという、よくある小さな不具合だった。
直して報告すると、返信の最後に一行だけ追記があった。
「ついでに、このボタンの色も少し明るくしてもらえますか」

五分もあれば終わる作業に見えた。
断る理由もなかったので、そのまま直して納品した。

「ついでに」は、契約書のどこにも書いていなかった

問題はその一回では終わらなかったことだ。
次の月も、その次の月も、報告のたびに「ついでに」が一つずつ増えていった。
文言の修正、画像の差し替え、メニューの並び替え。
どれも単体では小さいが、積み上げると半日仕事になっていた。

うちの保守契約書を読み返してみた。
「軽微な不具合の修正に対応する」とだけ書いてあり、どこまでが軽微でどこからが仕様変更なのか、線引きがどこにもなかった。
お客さんが悪いわけではない。
僕らが決めていなかっただけだ。

断れなかったのは、金額の話だと思っていたから

最初、この件を「追加費用をもらうかどうか」の問題だと捉えていた。
けれど整理していくうちに、順番が逆だと気づいた。
先に決めるべきは金額ではなく、何が保守の範囲に入っていて、何が入っていないかという線のほうだった。
線が引けていれば、金額の話はそのあとに自然とついてくる。

見積もりに、対応範囲を数行だけ足した

次の契約更新のタイミングで、見積書に短い一文を足した。
「バグ修正・表示崩れの修正は保守範囲内。文言変更・デザイン変更・機能追加は都度お見積もり」。
たったこれだけの数行だが、効果は思っていたより大きかった。

「ついでに」と言われたとき、僕らは契約書のその一文を指させばよくなった。
断っているのではなく、決まっている線をなぞっているだけになる。
角が立つ心配をしていたのは、こちらが線を持っていなかったときだけだった。

断ることは、不親切ではなかった

実際にやってみると、お客さんの反応は予想と違った。
「範囲外なので見積もりを出しますね」と伝えると、むしろ安心されることが多かった。
どこまでが無料の範囲なのか分からないまま頼むより、線がはっきりしているほうが、お客さん側も次に何を頼むか計画できる。

以前三日あれば終わると言った仕事に、二週間かかったという話を書いた。
あのときは見積もりの「時間」を数え忘れていたが、今回は見積もりの「範囲」を決めていなかった。
数え方の話と、線の引き方の話は、似ているようで別の失敗だった。

「ついでに」を言われたら、それは相手の図々しさではなく、うちが線を見せていないサインなのだと思うようにしている。

まる子パパ

まる子パパ

会社員。受託開発のエンジニアで、その前は寿司職人・長距離運転手・農業。 技術ブログは、キャンプの合間に踏んだバグと、AI・Web開発の運用の失敗を書いています。 このサイト自体が、開発に携わっているCMS「コンテナ」の稼働中の実例です。 このサイトについて

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