5年目のノートPCが遅い。買い替える前に、AIに中を調べてもらった
犯人は性能不足ではなく、消し忘れの残骸だった。
起動のたびに75秒、静かに消えていた。
5年ほど使っているノートPCが、最近どうにも遅くなっていた。
電源を入れてから使えるようになるまでが長い。アプリの切り替えでワンテンポ待たされる。
ファンはずっと唸っていて、本体は熱い。
そろそろ買い替えかな、と思いながら、その前にダメ元でAIに相談してみることにした。
普段の仕事でコードを書くのに使っているAI(Claude)に、PCの中を直接調べてもらったのだ。
先に結果を明かしてしまうと、買い替えは不要だった。
今日はその顛末を書いてみたい。
メモリ増設もSSD交換も、いらなかった
遅いPCへの定番の処方箋といえば、メモリ増設・SSDへの換装・不要ファイルの削除あたりだと思う。
僕もまずそれを疑った。
ところが調べてもらうと、メモリはたっぷり積んであってスカスカ、ストレージも高速なタイプで空きが4割。
ハードウェアは十分すぎるほど元気だという診断だった。
それなのに遅い。
つまり犯人は、性能ではなく別のところにいる。
AIにPCの中を調べてもらう
進め方はシンプルで、チャットで症状を伝えると、AIが「ではこれを実行して結果を見せてください」と診断用のコマンドを提案してくれる。
実行して出てきたログや数値を渡すと、それを読んで次の仮説を立てる。
この繰り返しだ。
見事だったのは、Windowsが記録している起動時のエラーログを7日分さかのぼって解析してくれた場面だった。
ずいぶん前に削除したはずのチューニングソフトのサービスが登録だけ残っていて、毎回の起動で応答を待ち続け、タイムアウトと再試行で約75秒を空費していたことを突き止めてくれた。
毎朝、もう存在しないソフトを75秒待ってから、僕のPCは始業していたわけだ。
犯人は6つ。ぜんぶ「過去の遺物」だった
ほかにも次々と出てきた。
セキュリティソフトが2つ同時に常駐して監視が二重になっていて、しかもOS標準の保護機能は無効化されていた。
画面の描画を担当する内蔵GPUのドライバーは4年半前のまま。
「PCを速くする」とうたうソフトが常駐して、逆に負荷を増やしていた。
自動起動するアプリは18個。
仮想環境の設定ファイルには書き間違いがあって、使い終わったメモリを返してくれる機能が一語違いで無効になっていた。
どれもこれも、長年使ってきた歴史の澱のようなものだ。
新品のPCが速いのは性能のせいだけではなくて、この澱がまだ無いからでもあるのだと思う。
数字はこう変わった
残骸のサービスを止め、重複していたソフトを整理し、ドライバーを更新して、自動起動を必要な数まで絞った。
起動時に出ていたエラーは毎回12件からゼロに。
無駄な待ち時間75秒もゼロに。
常駐プロセスは397個から300個前後まで減った。
体感もはっきり変わって、電源ボタンを押してから仕事を始めるまでのイライラがなくなった。
かかった費用は0円である。
熱の問題だけは、AIには掃除できない
ファンの騒音と熱については、温度と使用率を同時に測ってもらった。
結果は「性能低下は起きていない。ただ、ほぼ何もしていないのに70℃はやや高め」。
5年物のノートなので、内部のホコリと冷却グリスの劣化が疑わしいという見立てだった。
こればかりはソフトウェアではどうにもならない。
エアダスターで吹くか、スタンドで底面の吸気を確保するか、最後は分解清掃に出すか。
費用のかからない順に試す段取りまで提案してもらって、この件は宿題として残してある。
やってみて思ったこと
感心したのは、AIが必ず「証拠」とセットで原因を挙げてくることだった。
なんとなく怪しいから消す、ではなく、ログの記録を根拠に犯人を特定して、変更の前には元に戻せる復元ポイントまで作る。
慎重な整備士と一緒に作業している感覚に近い。
PCが遅いとき、僕らはつい「高速化ソフト」や買い替えに手を伸ばしたくなる。
でも今回の犯人は、そのどちらでも救えない過去の残骸だった。
古いPCの遅さに悩んでいる人は、お金を出す前に、一度AIと一緒に中を覗いてみてほしい。
僕のPCは今日も、75秒早く仕事を始めている。