AIに「何を読ませたか」を書き出す義務が、EUで始まった
モデルの中身ではなく、材料の出どころを開示させる決め方だった。
これは日本にいても他人事ではない気がする。
EUのAI規制が、いよいよ作る側に効きはじめた。
気になったのは罰則の重さではなくて、何を求めているかのほうだった。
求められたのは、材料の開示だった
2025年8月2日から、汎用AIモデルをEU市場に出す事業者に透明性と著作権まわりの義務が適用された。
欧州委員会は、学習に使ったデータの内容を要約して公表するためのひな形まで用意している。
何を読ませて作ったのかを、決まった様式で書き出させるということだ。
適用には段階がある。
8月2日より前から市場に出ていたモデルは2027年8月2日までに対応すればよく、欧州委員会が実際に取り締まる権限を持つのは2026年8月2日からとされている。
義務が先に立ち上がって、執行が後から追いつく形だ。
「どう作ったか」より「何で作ったか」
僕がおもしろいと思ったのは、規制の当て方だった。
モデルの中身、つまりどんな計算をしているかには踏み込んでいない。
代わりに、材料の出どころを言わせにきている。
これは料理に近い発想だと思う。
作り方の企業秘密には触らないけれど、何の食材を使ったかは表示してください、という話だ。
アレルギーの人が困るから、というのと同じ理屈で、著作権を持っている人が判断できるようにする。
中身の善し悪しを役所が判定するのは、たぶん無理がある。
材料表示なら、判断するのは受け取る側でいい。
落としどころとして、うまいところを突いていると感じた。
日本で個人でやっていても、関係なくはない
うちのような個人サイトが直接この規制を受けることはない。
それでも他人事に思えなかったのは、自分の書いたものが誰かの材料になっている可能性があるからだ。
材料の一覧が公開されるようになれば、そこに自分のサイトの名前があるかどうかを確認できる日が来るかもしれない。
使われていたとして、僕がどう感じるかはまだ分からない。
怒るのか、少しうれしいのか、正直まだ決まっていない。
ただ、知らないうちに使われて、知る方法もない、という状態よりはずっといいと思う。
決めるためには、まず見えないと始まらない。