2026.09.15 泊まれる場所4,223 立ち寄りスポット46,522 営業中を確認したキャンプ場1,005 note を読む

十五年やって、断る仕事の基準が三つに減った

引き受けるかどうかで迷っている時間が、いちばんもったいなかった。
自分のための線引きを、そろそろ言葉にしておく。

見積もりを作る前、いちばん時間を使っているのは何だろうと考えたことがある。
設計でも調査でもなくて、「これは受けるべきなのか」と一人で腕を組んでいる時間だった。

受託を始めた頃は、来た話をほとんど全部受けていた。
断る理由が自分の中になかったからだ。
十五年やってきて、いま見ているのは三つだけになった。

1. 決める人が誰なのか分からない

打ち合わせに五人いて、全員が「持ち帰って相談します」と言う。
この形の案件は、たいてい途中で止まる。

止まっているあいだもこちらの時間は動いているのに、請求できるのは作った分だけだ。
だから最初の打ち合わせで「最終的に決めるのはどなたですか」と聞くようにした。
その場で名前が出てこない話は、いったん引く。

意地悪で聞いているわけではない。
決める人がはっきりしていれば、相手のほうも迷わずに済む。
この質問に即答が返ってくる会社は、だいたい進行も速い。

2. 「とりあえず全部お願いします」と言われる

範囲が決まっていない仕事は、金額を決めようがない。
決めないまま走り出すと、どこかで必ず「そこまで含まれていると思っていました」が出てくる。
揉めるのはお金の話に見えて、実際は範囲の話だと思う。

いまは最初の見積もりを二段に分けている。
何を作るかを決めるところまでで一本。
実際に作るところで、もう一本。
前半だけで終わっても構いません、という形にしておくと、相手も「まず整理してもらおう」と言いやすいらしい。

この分け方にしてから、途中で険悪になることがほとんどなくなった。
前半の成果物は仕様書というより、決めたことの一覧に近い。
それでも、書いて渡すだけで話の速度がまるで変わる。

3. 値段だけで選ばれている

「相見積もりなので、いちばん安いところにお願いします」と最初に言われた案件は、受けないことにした。

安く出すこと自体が嫌なのではない。
困るのは、そのあと必ず来る「ここも直しておいてください」に、値段で選んだ相手ほど遠慮がないことだ。
値切られたぶんを、あとから時間で取り返される。

逆に、前に作ったものを見て連絡をくれた人とは、たいてい長く続く。
何を大事にしている相手なのかが、最初の一通で分かってしまう。
十五年ぶんの実感として、ここの見立てはあまり外れない。

断れるようになったのは、断らなくても回るようになったから

正直に書くと、この三つは十年目までは使えなかった。
来月の売上が見えていない状態で、目の前の話を断れるわけがない。

保守で毎月いくらか入るようになって、はじめて選べるようになった。
基準を持つより先に、基準を使える状態を作るほうが順番としては早いのだと思う。
だから「断り方」を先に覚えようとしている人には、まず続く仕事を一本作るほうを勧めている。

断った案件のことは、いまでもたまに思い出す。
あれは受けていたらどうなっていたんだろう、と考える夜がある。
それでも、迷っている時間が減ったぶんだけ、前より確実に手が動くようになった。

まる子パパ

まる子パパ

会社員。受託開発のエンジニアで、その前は寿司職人・長距離運転手・農業。 技術ブログは、キャンプの合間に踏んだバグと、AI・Web開発の運用の失敗を書いています。 このサイト自体が、開発に携わっているCMS「コンテナ」の稼働中の実例です。 このサイトについて

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