電波の入らないキャンプ場で気づいた。僕の仕事、半分は「確認」だった
圏外のキャンプ場で、ふと自分の仕事を振り返った。
手を動かしている気でいた時間の半分は、実は「確認」だった、という話。
「圏外です」と画面に出た瞬間、僕はなぜか少しほっとした。
道志のキャンプ場。まる子は焚き火のまわりの匂いを熱心に嗅ぎ回っていて、僕のスマホはさっきから電波を1本も掴まない。
いつもの車中泊なら、テントを張り終えたあとに「一応チェックだけ」とスマホを開く。
メールを見て、チャットを見て、サイトのアクセスも眺めて、それで安心してビールを開ける。
でもこの日は、そもそも回線がなかった。
圏外で、仕事のふりをする時間が消えた
最初の30分くらいは、正直そわそわした。
何か大事な連絡が来ていたらどうしよう、という漠然とした不安。
でも1時間もすると、その不安の正体が見えてきた。
いま、僕を本当に必要としている人は誰もいない。
急ぎの用があるなら、相手はとっくに電話をかけてくる。
つまり僕がふだんやっている「チェック」は、必要だからやっているのではなくて、ただの癖なんじゃないか。
圏外がそれを、否応なく突きつけてきた。
家に帰って、自分の1日を数えてみた
気になったので、家に戻ってから3日ぶん、ふつうの仕事日を記録してみた。
メール・チャット・アクセス解析を「なんとなく確認するために開いた回数」だけを、正の字でカウントする。
結果は、1日あたり40回を超えていた。
1回2〜3分だとしても、それだけで2時間近い。
しかも厄介なのは、開くたびに集中が切れて、元の作業に戻るのにまた数分かかることだった。
手を動かしている気になっていた時間の半分は、作ることじゃなくて確認することに溶けていた。
「確認」に時間割を作った
やったことは単純で、確認する時間を先に決めてしまっただけだ。
メールとチャットを見るのは、午前11時と午後4時の2回。
アクセス解析は朝に1回だけ。
それ以外の時間は、通知を全部切っておく。
不安だったのは「急ぎの連絡を取りこぼさないか」という点だけど、そこは圏外のキャンプ場が答えを出してくれていた。
本当に急ぎなら電話が来る。
だから、数少ない取引先には「本当に急ぎのときだけ電話してください」とだけ伝えておいた。
それで十分だった。
困らなかった、という拍子抜け
2週間ほど続けてみて、いちばん意外だったのは、何も困らなかったことだ。
1日ためたメールも、11時にまとめて返せばだいたい間に合う。
本当に急ぎの用が1度だけあったけれど、それはちゃんと電話で届いた。
代わりに、まとまった「作る時間」が戻ってきた。
午前中に2時間、誰にも邪魔されずに設計や実装に潜れる感覚は、ずいぶん久しぶりだった。
夕方にまる子を散歩に連れていく余裕まで出てきたのは、うれしい誤算だと思う。
完璧にはやれていない、という正直な話
とはいえ、いつも守れているわけじゃない。
サイトの更新をリリースした日なんかは、気になってつい何度もアクセス解析を開いてしまう。
きっとこの習慣も、放っておけばまた元に戻るんだろうと思う。
それでも、ひとつだけ変わったことがある。
いま自分が「作っている」のか「確認しているだけ」なのか、その違いに気づけるようになった。
たぶん本当の収穫はそこで、圏外のキャンプ場がくれたいちばんの土産は、電波じゃなくてこの感覚だったんじゃないだろうか。