当選10回、と数字だけが残っていた
40年戦っても、キャリアに残るのは当選回数と肩書きだけだった。
どこで勝ち、何をした人なのかは、どこにも書かれていない。
候補者モードは、選挙をまたいでキャリアが続く。当選回数が増え、地盤が厚くなり、党内で椅子が回ってくる。
長く遊んだあとのプロフィールを眺めていて、妙に物足りないことに気づいた。
「当選10回」「閣僚経験」。残っているのは、それだけだった。
どこの選挙区で勝ったのか。何歳のときに公認を落として無所属で出たのか。どの法案を通したのか。
全部、通り過ぎたきり消えていた。数字が増えていくだけで、辿ってきた道が見えない。
1行ずつ積む
来歴を持たせることにした。選挙のたび、任期のたびに1行ずつ足していく。
迷ったのは、何を残すかだった。打った手をすべて記録すると、年表が「地元をまわる」で埋まってしまう。
残すのは、その人の輪郭を作った出来事だけにした。選挙の結果、椅子の異動、党を移ったこと、そして法案が通ったこと。議員が「何をした人か」を後から語るとき、出てくるのはたいていこの4つだ。
試しに、当選7回・党内影響力85の議員で1周回してみた。出てきた年表がこれだった。
- 35歳 政治の道に入る
- 58歳・当選8回 島根県第1区で当選(8回目) 得票率72.0%・1位
- 62歳・当選8回 議員立法が成立 自分の名前が付いた条文が残った
- 62歳・当選8回 内閣総理大臣に就任
読める。数字の羅列ではなく、一人の人間が歩いた道として読める。
追悼の画面では、これが生涯の記録として並ぶようにした。亡くなったあとに残るのは、結局こういうものだと思う。
もうひとつ、新人で始めたときの年表も面白かった。
「35歳 政治の道に入る」「35歳 公認を得られず、無所属で出馬」「35歳 島根県第1区で落選 得票率0.7%・6位」。
0.7%。これはこれで、始まりの記録として悪くない。
どこで戦うかを、選べるようにする
もう一つ手を入れたのが、出馬先の選び方だった。
これまで選挙区を選ぶ画面には、都道府県と区の番号しか出ていなかった。「東京都第1区」と言われても、そこがどんな土地で、どの党が強いのかは分からない。区割りのデータを入れたあとは市区町村が出るようになったが、勢力までは見えなかった。
前回の比例代表の得票率を、そのまま出すことにした。
大阪4区を選べば「刷新 33.4%」が先頭に来る。島根1区なら「民自 40.7%」。東京1区は「立国 34.8%」。
自分の党の地盤で堅く戦うのか、敵陣に乗り込むのか。選ぶ前にそれが分かるだけで、選挙区を選ぶという行為の意味が変わった。
実装で少し気をつけたのは、架空の政党で遊ぶモードと実在政党のモードで、混ざらないようにすることだった。データには両方の得票率が入っている(同じ実績から作っているので当然だ)ので、いま使っているデータセットの党だけを拾って並べている。
テストにも「架空モードに jimin が出てこない」「実在モードに minji が出てこない」を書いた。この手の混線は、動かして気づくと原因を探すのに時間がかかる。
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