議員が死ぬ仕組みを作るのに、生命表を読みに行った

何歳になっても議員を続けられるゲームだった。
若くても事故はある、60歳から上がる——それを式にしたかった。

候補者モードは当選するたびに年齢が進むが、何歳になっても選挙に出続けられた。90歳でも100歳でも、当選回数だけが積み上がっていく。
そこに死亡リスクを入れたい、という話になった。条件も具体的だった。若くても事故や病気はあるので確率は低くとも0ではないこと、60歳を超えたあたりから上がっていくこと、中年期も若年期よりは高いこと、健康というパラメーターを持たせて病気に効かせること、事故は完全なアクシデントなので低い確率で固定すること。

要望の構造が、そのまま既存のモデルだった

年齢別のカーブをどう作るか考えはじめて、すぐに気づいた。この要望の構造は、実際の生命表で使われている Gompertz–Makeham モデルそのものだ。

このモデルは死亡率を「年齢に依存しない項」と「年齢とともに指数的に立ち上がる項」の和で表す。前者が事故や事件、後者が病気にあたる。
若くても0にならないのは前者があるから。中年期からじわじわ上がり60代で加速するのは、後者が指数関数だから。要望を満たすために工夫して曲線を作る必要はなく、実データに合わせた係数を入れるだけで、求められていた形が出てくる。

係数を日本の生命表におおよそ合わせたところ、25歳で年0.06%、40歳で0.14%、60歳で0.75%、80歳で4.8%になった。現実の数字とほぼ同じ桁だ。
そこに、議員という職業ならではの要因を足した。健康は病気の項に倍率としてかかる。知名度は事件(襲撃)の項にかかる——要人ほど狙われるというのは、残念ながら現実の話でもある。

選挙戦のあいだだけ働く死因

もう一つ、年間の死亡率に混ぜられない死因があった。過労だ。
選挙戦は12日間しかないが、候補者にとってはもっとも無理をする時期でもある。疲労が一定の閾値を超えてから二次曲線で立ち上がるようにして、この期間だけの死因として独立させた。多少の疲れで人が死ぬわけではないが、限界を超えて走り続ければ話は変わる、という形にしたかった。

結果として、疲労を溜めずに戦えば12日間で倒れる確率は0.01%にも満たないが、限界まで走り続けると2〜3%になる。「体調を整える」という、それまで何の得にもならなかった行動に、初めて意味が生まれた。

死んだあと、ゲームは終わるのか

残ったのは、亡くなったあとどうするかだった。キャリアを消して最初からやり直すのがいちばん単純だが、10期積み上げた地盤がゼロに戻るのは、遊ぶ側にとってあまりに重い。

選んだのは、後継者を立てられるようにすることだった。
選挙区と所属政党、そして地盤・知名度・資金力の一部は引き継げる。だが演説力や政策通といった個人の資質は引き継がれず、当選回数もゼロから数え直す。引き継げるのは「後援会が担いでくれること」までで、実力は自分のものではない——世襲というのは、たぶんそういうものだ。
35歳で出馬して当選を重ねた場合、10期目(71〜75歳)まで生き延びる確率はおよそ7割になった。長く続けるほど、いつか必ず訪れる。

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