電源付きサイトを取ったのに、湯を沸かしただけでブレーカーが落ちた
コンセントがあれば家と同じだと思っていた。
落ちてはじめて、紙に書いてある上限の行を読んだ。
電源付きのサイトを予約したとき、正直すこし油断していた。
コンセントがあるなら、家と同じように使えるだろうと思っていた。
着いてすぐ、電気ケトルで湯を沸かした。
同じタイミングで、持ってきたホットプレートの電源も入れた。
一分もしないうちに、まわりが暗くなった。
落ちたのは、機械のせいではなかった
管理棟へ謝りに行って、ブレーカーを上げてもらった。
そのときに教わったのが、うちのサイトは1000Wまで、という話だった。
受付でもらった紙を読み返すと、たしかに書いてある。
電源のご利用は10Aまで、と一行だけ。
僕はその行を、料金の下にある細かい注意書きくらいにしか見ていなかった。
10Aというのは電流の単位で、日本の家庭用コンセントは100V。
掛けると1000Wになる。
ワットは「同時にどれだけ使えるか」の上限で、使う時間の長さとは関係がない。
二分使おうが五時間使おうが、超えた瞬間に落ちる。
やっかいなのは、この上限が場所によって違うこと。
600Wのところもあれば、1500Wのところもある。
同じ「電源付き」と書いてあっても、中身は同じではなかった。
家電の裏に、答えは書いてあった
帰ってから、持って行っていたものの数字を順に見た。
たいてい本体の裏か底に、小さいシールで貼ってある。
電気ケトルが1200W。
ドライヤーが1200W。
ホットプレートが1300W。
このあたりは、一台で1000Wの枠をまるごと超えてしまう。
逆に、電気毛布は50Wくらい。
扇風機が30W前後。
スマホの充電は20Wもあれば足りて、ノートパソコンでも65Wあたり。
機種によって幅はあるけれど、桁がまるで違う。
並べてみて気づいたのは、電気を食うものが全部「熱をつくるもの」だったことだ。
湯を沸かす、髪を乾かす、鉄板を焼く。
熱に変えるのがいちばん電気を使う。
光らせたり回したりするだけのものは、驚くほど小さい。
合計を計算するのをやめた
それから僕がやっているのは、足し算をやめることだった。
合計を出そうとすると、めんどうになって結局やらなくなる。
代わりに、熱をつくるものは一度にひとつ、と決めた。
ケトルが動いている二分のあいだは、ほかの熱ものを止める。
それだけで、あの日のような落ち方はしなくなった。
気をつけているのが、勝手に動きだすものの存在だ。
車載の冷蔵庫は、放っておいても中で動いたり止まったりしている。
止まっているあいだに測って「まだ余裕がある」と思っていると、動き出した瞬間に超える。
ぎりぎりを狙わないほうがいい理由は、たぶんこれだと思う。
忘れがちなのが、延長コードにも上限があること。
コードのどこかに1500Wと書いてあることが多い。
サイト側が1500Wでも、細いコードを一本はさんだ時点で、上限はそのコードのほうになる。
電源のない場所のほうが、迷わなかった
おかしな話だけれど、電源のないサイトに行くようになってから、この手の失敗は減った。
使えないと分かっていれば、熱をつくるものをそもそも持って行かない。
湯はガスで沸かす。
ポータブル電源を積んでいく日も、考え方は同じだ。
本体に定格出力という数字があって、それが同時に使える上限になる。
家のコンセントと違って、その数字は箱にも本体にも大きく書いてある。
夏場は熱で自分から止まることもあるので、余計に無理をさせなくなった。
どれくらいの出力の機械があるのかは、うちのギア紹介にも並べてある。
電源付きサイトは、家の続きではなかった。
決められた枠のなかで、何を先に使うかを選ぶ場所だった。
そう思うようになってから、あの1000Wという数字が、制限ではなく予算のように見えている。
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