AIの電気代は僕らの電気代になる、と書いた。作っている側が「それはうちが払う」と言い出した

先月そう書いたときは、外れてほしいと思っていた。
三週間で、話のほうが動いた。

先月、AIの電気代はいずれ僕らの電気代になる、という話を書いた
データセンターが増えて電気が足りなくなれば、その値上がりぶんは全員の請求書に薄く広がっていく。
そういう心配だった。

その三週間後に、作っている側が「それはうちが払う」と言い出した。
発表を開いたとき、素直に、へえ、と声が出た。

何があったのか

2026年8月10日、Anthropic と、オーストラリアの資産運用会社 Macquarie Asset Management、シンガポールの政府系ファンド GIC の三者が、Theseus Infrastructure という枠組みを立ち上げると発表した。
データセンターを建てて運営し、それを長期の契約で Anthropic に貸す会社だ。
まずは米国内で用地を探すという。

資金と持ち分は Macquarie と GIC の側が出す。
各案件の出資の大半をこの二者が持ち、Anthropic は最初の借り手として入る。
投資額も容量も立地も、いまのところ公表されていない。
発表文にあるのは「相当な資本が要る」「数千人規模の建設の仕事と、恒久的な運営の仕事が生まれる」というところまでだ。

僕がひっかかったのは、そこではない。
発表文の後ろのほうに、一行だけこう入っていた。
これらの用地によって消費者が被りうる電気料金の上昇ぶんは Anthropic が負担する、今年はじめに表明した約束に沿って、と。

その「今年はじめの表明」は、2026年2月11日に出ていた。
中身は四つある。

データセンターを送電網につなぐために要る設備の更新費用を、自社の電気料金に上乗せする形で100%払うこと。
使うぶんに見合う発電を新しく立ち上げること(間に合わないあいだは電力会社と一緒に価格への影響を見積もって埋め合わせる)。
需要が張りつめたときに使用を絞る仕組みと、送電網を効率よく使うための道具に投資すること。
そして、地域への投資。

背景の数字も添えられている。
最先端のモデルをひとつ学習させるのに、まもなくギガワット級の電力が要るようになる。
米国のAI分野は今後数年で、少なくとも50ギガワットの容量を必要とする。

僕がひっかかったところ

まず、いいことだと思った。
誰も言い出さないうちに言えば、言った会社だけが損をする。
それでも先に言った、という点は素直に評価したい。

そのうえで、三つ引っかかっている。

ひとつめは、上昇ぶんをどう計算するのかが書かれていないこと。
電力会社や専門家と一緒に見積もる、とはある。
けれど、その計算を外の誰かが検算できるのか、結果が公開されるのかまでは書かれていない。
払うと言っている当人が金額を決めるなら、約束の重さは決め方しだいになってしまう。

ふたつめは、建物を持つ会社と、約束をしている会社が別だということ。
持ち分の大半は運用会社と政府系ファンドにあって、Anthropic は借りる側だ。
借り手がいつか出ていったあと、その建物と電気の約束がどうなるのかは、今回の発表からは読み取れない。

みっつめは、これがアメリカの話だということ。
日本で電気代の請求書を見ている僕には、直接は関係しない。
関係しないのに読み込んでしまうのは、この構図に見覚えがあるからだと思う。

で、僕はどうするか

電気代の話としてより、費用が誰に付け替えられているか、という見方の練習として読んでいる。

個人のサイトでも、まったく同じことをやっている。
画像を軽くしないまま置けば、その重さは見に来た人の通信料と電池に付け替わる。
計測用のタグをいくつも足せば、その待ち時間は読む人の時間に付け替わる。
どちらも自分の請求書には出てこないので、気づかない。

だから、うちでは三つだけ決めている。
画像は置く前に軽くする。手間はこちら持ちにする。
計測は本当に見るものだけ入れる。数を数えるために読む人を待たせない。
AIに投げた回数と量は記録しておく。外に出しているものは、数字で見えるようにしておく。

大きい会社の約束が守られるかどうかは、僕には確かめようがない。
確かめられるのは、自分の側で誰かに付け替えているものを減らせているかどうかだけだ。
そっちなら、今日からできる。

出典

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※運営者が個人で書いているnoteです。

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