夏のキャンプでいちばん虫を呼んでいたのは、ゴミだった

虫よけを増やす前に、ゴミの置き方を変えてみた。
それだけで、夜の落ち着き方がまるで違った。

去年の夏、夕飯のあとにテーブルのまわりが妙に賑やかになった。
虫よけは焚いていたし、明かりも暖色にしていた。
それなのに寄ってくる。

原因を探して、足元のレジ袋に行き着いた。
焼いたあとの魚の皮と、飲み終わった缶と、口を拭いたペーパーが、そこに一緒に入っていた。
虫が来ていたのは灯りでも僕でもなく、その袋だった。

寄せているのは匂いのほう

虫を追い払う道具そのものは入れないほうが早い、と書いた回でひととおり整理した。
あのとき書ききれなかったのが、この話だ。
道具を増やすより、寄せているものを減らすほうが早い。

寄せるものの正体は、だいたい三つに絞れる。
たんぱく質と脂(肉・魚・乳製品)、糖(ジュース・酒・果物)、そして水分。
夏はこれが袋の中で温まって、匂いが上がっていく。

厄介なのは、自分の鼻がもう慣れてしまっていて分からないことだ。
少し離れてから戻ってくると、自分の場所がどれだけ匂っているかが分かる。
はじめてそれをやった日は、正直まいった。

口を開けたまま置かない

いちばん効いたのは、袋の口を開けっぱなしにしないことだった。
捨てるたびに縛るのは面倒なので、僕は分け方のほうを変えた。

匂うものだけを小さい袋に入れて、その袋は都度縛る。
缶や紙のような匂わないものは、大きい袋にまとめて開けたままでいい。
全部を一緒にしていた頃は「面倒だから開けたまま」になっていたけれど、匂う側が小さければ縛る手間は数秒で済む。

匂いを通しにくい袋があると、この作業が一段楽になる。
もともとおむつやペットのために作られたものが多いけれど、生ゴミにそのまま使える。
厚みのある普通のポリ袋でも、二重にすればだいぶ違う。
高いものを大量に使う必要はなくて、匂う側にだけ回せばいい。

地面に直接置かない

次に効いたのが、袋を地面から離したことだ。
直接置くと、寄ってくるのが飛ぶものだけではなくなる。
朝に持ち上げたら下に列ができていた、というのを一度やると懲りる。

スタンドに袋を吊るす形にすると、地面から浮くうえに口の形が保たれるので閉じやすい。
目隠しの布が付いているものは、中が見えないぶん景色も落ち着く。
畳んで薄くなるものを選べば、積むときに邪魔にならない。

荷物を増やしたくないなら、車の低いところに吊るす手もある。
ただ、そうすると今度は車の中が匂う。
そこは次で書く。

持ち帰るぶんは、閉じてしまう

キャンプ場によっては、ゴミを持ち帰る決まりのところがある。
そのとき困るのが、帰り道の車の中だ。
袋のまま積むと、着く頃には車内がすっかりやられている。

僕はパッキンの付いた蓋つきの容れ物をひとつ積むようにした。
袋ごと入れて蓋を閉じると、匂いがほとんど出ない。
走っている途中で倒れても汁が漏れないのが、実はいちばんありがたい。

容量は思っているより小さくていい。
大きいものを買うと、匂うものと匂わないものを一緒に放り込んでしまって、結局あとで洗うのが面倒になる。
匂うものだけを入れる前提なら、10リットル前後で足りる。
積む場所は床の低いところで、積む場所を決めた回に書いた重いものの置き方と同じ考え方でいい。

洗うより、拭くほうが先

もうひとつ、ゴミそのものを軽くする手がある。
食器や鍋の油を、洗う前に紙で拭き取ってしまうことだ。

油の浮いた水をそのまま流すと、洗い場の排水口のまわりが匂う。
拭き取ったぶんは匂う側のゴミになるので、小さい袋へ入れて縛る。
水を汚さない、洗い場を汚さない、匂うものを一箇所にまとめる、が同時に片づく。

濡れたものを持ち帰る順番は乾かす順番を決めた回に書いたけれど、ゴミも考え方は同じだ。
家に着く前に形を決めておいたものは、あとで自分を困らせない。

虫よけを焚く量が減った

ゴミの置き方を変えてから、虫よけを焚く量が減った。
来ないわけではないけれど、テーブルのまわりに居座らなくなった。
道具でどうにかしようとしていた頃より、夜が静かだ。

買い足したのは袋とスタンドと容れ物だけで、どれも高いものではない。
虫よけを一本増やす前に、まず足元の袋を見てみるといいと思う。

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