桃は、直売所で「傷んでいる」と「熟れている」を見分けられないと損をする
直売所の桃コーナーで、傷んでいると言われて戻された桃を、僕は代わりに買って帰った。
中はいちばん甘い状態だった。
直売所の桃コーナーで、隣にいたお客さんが「傷んでるのかな」と言って棚に戻した桃を、僕は代わりに買って帰った。
表面に茶色い斑点が出ていただけで、中はいちばん甘い状態だった。
茶色い斑点は、傷みではなく蜜だった
桃の表面にできる茶色いにじみのようなものは「みつ症」と呼ばれる状態で、中の糖度が上がりすぎて果肉から蜜がにじみ出たときに出る。
見た目は傷んでいるように見えるが、実際は熟度のピーク。
畑をやっていた頃、出荷できない規格外として弾かれる桃の中に、いちばん甘いものが混ざっているのをよく見た。
見た目の基準と、味の基準は必ずしも一致しない。
本当に傷んでいるものには、別の見分け方がある
みつ症と、本当の傷みを見分ける場所は、斑点の触り心地だ。
みつ症は皮の表面がべたつく程度で、押してもへこまない。
本当に傷んでいるものは、その部分だけ皮が柔らかく沈み、押すと指の跡が残る。
においを嗅ぐと、傷んでいるほうは発酵したような酸っぱい匂いがする。
持ち帰るときは「置き方」で傷みが決まる
桃はぶつけると、そこから傷みが進む。
買ったその場でビニール袋にまとめて入れると、袋の中で桃同士がぶつかり、車の振動でさらに擦れる。
直売所で買うときは、平たい紙袋か浅い箱に、ヘタを下にして並べるようにしている。
ヘタを下にすると、果肉のいちばんやわらかい先端が上を向くので、重みで潰れにくい。
車に積むときも、揺れの少ない座席の足元に置く。
荷物を置く場所ひとつで揺れ方が変わる話は、他にも書いた。
トランクの奥は振動が大きく、着いたころには潰れていたことがあった。
追熟は、常温でしかできない
まだ硬い桃を買ったときは、冷蔵庫に入れない。
桃は冷やすと追熟が止まってしまい、そのまま硬いまま味が入らなくなる。
常温で、新聞紙かキッチンペーパーに一つずつ包んで、風通しのいい場所に置く。
甘い香りがしてきたら食べごろで、そこから冷蔵庫で一、二時間だけ冷やす。
直前まで常温、食べる直前だけ冷やすのがいちばん甘く感じる。
キャンプに持っていくときは、この「食べごろの見極め」を家で済ませてから積むようにしている。
現地で追熟を待つ余裕は、たいていない。
直売所で選ぶときの三つ
いま桃を選ぶときに見ているのは三つ。
ヘタのまわりが青くなく、ほんのり色づいているもの。
全体に丸みがあり、片側だけ痩せていないもの。
そして、斑点があってもべたつく程度なら、それは避ける理由にならない。
あの日、隣のお客さんが戻した桃は、家に着くころには家族に取り合いになるくらい甘かった。
見た目で損をするのは、たいてい買う側の思い込みのほうだった。