ごはんに知らない粒が混ざっていた日から、わたしのお皿は少し変わったの

ある朝から、ごはんの上に小さな粒がのるようになったの。
はじめは疑ったけど、いまはそれがふつうになったよ。

ごはんの上に、見たことのない粒がのっていたの

その日の朝ごはんは、いつもと匂いが違ったの。
お皿をのぞいたら、見たことのない小さな粒がのっていた。
わたし、食いしんぼうだけど、知らないものは意外と慎重なんだよ。
鼻を近づけて、いちど顔を上げて、ママの顔を見た。
ママは「だいじょうぶ」って言いながら、なぜかこっちをじっと見てる。
そういう日は、たいてい何かが始まる日なの。

わたしの目が、白くなってきたんだって

あとから聞いた話だと、わたしの目に少しだけ白いところが出てきたんだって。
自分では見えているつもりだから、そんなに変わった気はしていないの。
でも夜の散歩で、前より足元をゆっくり確かめるようになったのは、たしかにそう。
十歳になった年だった。
人間の数え方だと、そろそろいたわられる歳らしいよ。
わたしはまだ、階段を三段とばしで駆け上がれるつもりでいるんだけどね。

ひざが、ときどき外れるの

わたしにはもうひとつ、生まれつきの弱いところがある。
後ろ足のひざが、ときどきぽこっと外れるの。
痛いというより、急に足が地面をつかまえられなくなる感じ。
そういうときは三本足でぴょんぴょん歩いて、しばらくすると元に戻る。
パパはそのたびに動きを止めて、わたしの足を目で追ってる。
笑いながら見てるようで、ちゃんと数を数えてるみたいだった。

気がついたら、粒のある朝がふつうになっていた

粒が混ざるようになってから、しばらく経った。
いまでは、お皿に何ものっていない日のほうが物足りない。
粒そのものがおいしいわけじゃないの。
ただ、あれをのせるときのママの手つきが、ちょっと丁寧なのを知ってるから。
中身が何なのかは、正直わたしにはわからない。
でも、わたしのために誰かが調べて、選んで、毎朝のせてくれているものだというのは伝わってる。
だから今朝も、ちゃんと全部たいらげたよ。
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